2024-12-23
森本
前回のコラムで紹介された「ライフシフト」は8年前の高尾さんのコラムに続いて、本スタコラ2回目の登場でした。
影響力のある名著なのだなぁとあらためて思い、久しぶりにページをめくると、新しい発見があったり、以前とは異なる納得感を得たりしました。
一度読んだ本でも読み返すとこんな風ですから、ましてや別人が同じ本を読んでも同じ感想にならないのは当然のことでしょう。
YouTube のある配信で、先月、一冊の書籍が紹介されました。
「スーパーエンジニアへの道」と題されたその本は30年以上前に初版を入手して、何度も読み返した本で、当時の自分の仕事環境にも非常に役立つ内容でした。
現在まで増刷が続いているこのベストセラーは、職業プログラマーをマネージメントするための指針と方策と心構えを書いたものです。
YouTube でこの本を紹介した配信者は、私よりもずっと年齢が若く、とても聡明な方で、普段から教えられること気付かされることがたくさんで、その彼が言うには、
「この本はプログラミングの現場における管理者のためのものでなく、あらゆる職場で上級職に就く人向けのもの」
「部下をなめるな、人として正しく接せよ」
などが書かれてあるとのこと。
そんな風に考えたことはありませんでした。久しぶりに目次をめくっても、どの章も、IT技術者以外に役立つとは考えにくいので、ざっと読み返してみました。
結論、やはり職業プログラマー、もしくは工学系エンジニアでないとピンとこない内容であろうと思われます。
しかし件の配信者がなぜ「一般向けでも通ずる」と考えたのかは何となく理解(想像?)できる部分がありました。
読む人によって、あるいは同じ人物でも読む時期や置かれた立場によって違う感想を持つことはよくあること、内容が濃い書籍であるほど、そういうことが起こりやすいのかも知れません。
今年、読んだ本の中で、感銘を受けた2冊をご紹介します。どちらも内容が濃く、ページ数も膨大で、数年前にバカ売れしました。
「コンテナ物語」と「サピエンス全史」。
「コンテナ物語」は、物流業界に革命をもたらした箱(コンテナ)
とそれを発明した人の人生についてのノンフィクションです。プロジェクトXの波乱万丈版みたいな感じ。
文句なしに面白かったです。アイデアを現実化することに立ち向かう姿に痺れました。
「サピエンス全史」は、ある歴史学者が解く人類の歴史
についてです。
上巻はドキドキしながら、下巻は少し憂鬱な気分のまま読了しました。「幸福」についても考えさせられました。
どんな感想を抱いてもマルだと思います。数年後に読み返した時に、どんな違う感想になるのかも楽しみの一つです。