スタコラ:2021-03-01

損益計算書の「意外」な見方

2021-03-01
白水

みなさま、こんにちは。白水淳(しろうずあつし)です。

ときどき経営者の方から「財務諸表をわかるようになりたい」という相談をうけることがあります。
それはたぶん、お金についてコントロールできている感覚をもちたいからだと思うのです。
ただ、どの項目をどの程度確認していくのか?というのが、業種や業態、はたまた季節変動などで、それぞれ違いますからなかなか一筋縄ではいかず難しいところです。

そんななかで、損益計算書の1つの見方をご紹介したいと思います。
ジョンソン&ジョンソン社のわが信条というクレド(企業の信条・行動指針)が参考になると思っています。

なぜ、これが損益計算書と関係あるのか?
わが信条の冒頭は「我々の第一の責任は、我々の製品およびサービスを使用してくれる患者、医師、看護師、そして母親、父親をはじめとする、すべての顧客に対応するものであると確信する」とはじまっています。
つまり、一番大切なのは「お客様ですよ」といっているわけです。
次に「我々のビジネスパートナーには、適正な利益をあげる機会を提供しなければならない」
さらに、その次に「社員一人ひとりが個人として尊重され、受け入れられる職場環境を提供しなければならない」と続きます。
これは、二番目にくるのは「取引先」で、三番目は「社員」ですと言っています。

ごく当たり前のように思えますが、実はこれは損益計算書の項目を上から順番を表したものとも読めます。

損益計算書は、

  1. 売上
  2. 原価
    粗利
  3. 販売費及び一般管理費
    営業利益

という順番で項目が並んでいます。

売上というのは、言うまでもなく「お客様」を大切にしないと上がらないものです。
二番目の原価というのは「取引先」に支払うお金を表しています。
そして、三番目の販売費及び一般管理費から「社員」の給料が支払われているわけです。
そう、わが信条の優先順位は、損益計算書の項目の順番にならんでいるのです。
そして、上から順番に「大切にせよ」と書かれているわけです。

ちなみに、クレドには、四番目は「地域社会に貢献し租税を果たす(=法人税等)」、最後には「最後の責任は株主に対するもの(=当期純利益)」と見事に、損益計算書の順序に従っています。
ただし、これは株主利益を1番後回しにせよ、という意味ではないと思っています。
損益計算書は、上の項目の数字が大きいほど、下の数字がよくなります。
つまり、最終的に株主のためには、お客様から支持され売上を大きくしないと結局最後までお金が残らないよ、ということなのだと考えています。
そう考えると、損益計算書の順番には意味があるように思えますね。

なるほど、ジョンソン&ジョンソン社が超優良企業である理由がこのクレドをみてもよくわかります。
あくまでひとつの見方ですが、このように損益計算書をみてみると、ビジネスの優先順位がみえるかもしれません。

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