2021-03-29
大隈昭子
3月8日は、国連が定めた「国際女性デー」です。
この日に合わせてイギリスの経済誌「エコノミスト」は、女性の働きやすさについて、OECD加盟国のうち所得水準などを参考に選んだ主要な29か国を評価しランク付けをしています。
日本は昨年に続きワースト2位(28位)でした。
ランキングは、管理職に占める女性の割合や女性の労働参加率、女性の政治参加率、男女の賃金格差など10の指標に基づいてランク付けしています。
同誌は、女性の管理職の割合や女性議員の割合が、日本はそれぞれ最下位(29位)だったことを示した上で、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長だった森喜朗元首相による女性蔑視発言を受けて、橋本聖子氏が後任となったことに触れ、「日本のように伝統的に遅れている国でさえ、進歩の兆しがみられる」と評価(?)しています。
女性蔑視は許せないとの国内外の世論の高まりがありました。
特に女性の間で、怒りが噴出し、再発防止や女性理事を増やすことなどを求めるオンライン署名は16万人近く集まり、「#わきまえない女」のツイッターデモも広がりました。
「もうこれ以上見過ごすことは出来ない」と、若い世代から年長の世代まで変化が生まれていることを実感します。
しかし、森氏辞任からわずか1か月後に東京五輪の式典を統括する人物が人権感覚を疑われる企画を提案した事実が発覚し、資格を欠いていたとして辞職に追い込まれたことを世界の人々はどのように受け止めるのでしょうか?
オリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向などいかなる差別も受けることなく、確実に享受されなければならない
と謳っています。
男女平等を記した日本国憲法が制定されて75年です。
多様性が尊重され、男女共同参画社会が当たり前であるはずの時代にあって「ジェンダー平等後進国・日本」の矛盾が噴出しています。
今回の東京五輪・パラリンピック大会をめぐる問題だけでなく、雇用をめぐる問題も、新型コロナ感染拡大のもとで端無くも明らかになっています。
新型コロナ感染症の拡大による男女の雇用数の2020年4月の変化は、前月比、男性の雇用数の減少は34万人減に比べ、女性は74万人減と2倍以上の減少、さらに、非正規雇用労働者の女性は、2019年より50万人減少するなど、そのしわ寄せが女性に重くのしかかっています。
女性の大会組織委員会会長の実現や女性理事の増員だけに目を向けるだけでなく、日本社会の構造的な後進性に、もっと目を向ける必要があるように思います。