2019-06-03
大隈昭子
働き方改革関連法が、今年の4月から本格的に施行されました。
その内容は、年次有給休暇の時季指定義務や時間外労働の上限規制、フレックスタイム制の拡充、高度プロフェッショナル制度の新設などです。
中小企業は、大企業に比べて法律の施行日が、若干猶予されていますが、特に、この4月に施行された「年次有給休暇の時季指定義務」について、保育や福祉・介護の事業所からの相談が多数寄せられています。
職員数30人のある保育園で、年5日の年次有給休暇を指定すれば、年間150日となり、その代替要員が必要となります。
職員数100人を超える特別養護老人ホームでは、500日分となり、最低3人は増員しないと業務が回らなくなります。
もちろん保育や福祉・介護の事業所の皆さんは、子どもや障がい者や高齢者に最善の環境を整えるために奮闘され、法律を遵守する立場で頑張っておられますが、人件費増だけでなく、求人を出しても、なかなか応募者がいないという悩みを訴えられる事業主の方もおられます。
また、他産業でも中小企業の場合は、業務量は多いのに、人手が少ない中でどうしても長時間労働につながる業界も多く、「時間外労働の上限規制(2020年4月)や時間外労働の割増率の引き上げが施行されると(2023年4月)事態はより深刻になります。」との訴えも聞かれます。
働き方改革の目指すものとして以下のように謳われています。
「働き方改革」は、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できるための改革です。
長時間労働を是正することによって、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性や高齢者も仕事に就きやすくなり労働参加率の向上に結びつきます。
「働き方改革」を真に実効性のあるものとするためには、保育士の処遇改善や介護職場や障がい者福祉職場の処遇改善、あるいは、中小企業に対する支援を拡充することが急がれているのではないでしょうか。