2019-05-06
柿本
人間は生来的に秩序を求めていると思う。
それはわれわれが集団生活をするからだろう。社会的、と言い替えてもいい。
一人で生きていけない人間は、国家という境界や法律、社会規範といったルールをみんなが共有することで自分と他者の利害に折り合いをつけながら秩序をつくり暮らしてきた。
いま、いろんなところで秩序が壊れはじめている。
「個人の自由」という強い力は、これまでの概念をカンタンに打ち破る。数学を学んだ私は混沌よりは秩序を好むのだが。そこに美しさを感じるからだ。
先日、ある酒席で初めてお会いする女性と話をした。
「ある歳から私は自由になった」そんな彼女はいま、ベリーダンスにハマっているという。それは引き締まったおなかの見える、ピチピチの衣装を着て踊る、なんとも艶っぽいダンスらしい。
「最初は難しかったんですよ。こうして頭を固定して胸だけを揺らすのが」そういうと、彼女は私の前で胸をぷるるん、としてみせた。
え!
女性が、初対面の男性の目の前で、胸を、ぷるるんっ💛
ええと、私の中の秩序がまたひとつ壊れた。
男性が女性の胸に抱く永遠の密やかな憧れは、女性にとってはなんでもなく、趣味の成果を説明するのに、ぷるるんくらい、なんでもないのかもしれない。
秩序は乱されたが、この体験は悪くなかった。
…正直に言おう、むしろよかった…。
人間は秩序を求めるが、心を乱す混沌を楽しむことも知っている。
「自由になった人々」は、こうやって世界を少しずつ変えていくのだろう。