スタコラ:2024-08-05

虎に翼

2024-08-05
西平

 1日の始まりに、NHK朝のテレビ小説『虎に翼』を見るのが私の日課となっている。
 初めから見ていたのかというとそうではなく、巷で「面白いらしいよ」と噂になっていたので見るようになったのだが、ハートを鷲掴みにされている。
 主人公の寅子(ともこ)は、司法試験に合格し、女性初の裁判所長となった三淵嘉子さんがモデルとなっている。
 士業の端くれにいる者として、子育てしながら働く女性としての視点からも興味深く見ている。

 昭和の終戦後、たくさんの戦争孤児がおり、夫を亡くした女性達は働いて家計を支えていかなければならなかった。
 家庭は家族で支え合い、お隣りご近所で支え合って生きていた時代だった。男性と女性が対等の仕事に就くことが難しかった法曹界で、寅子が新民法の起草や家庭裁判所の設立に関わり、女性初の裁判官と任命された経緯をドラマを通して知ることができた。
 女性の職業分野を広げていくということは私のミッションのひとつでもある。性別に関係なく自分の適性に合った仕事に就くことは、ライフイベントの多い女性の方が難しい。
「結婚したら…、子どもを産んだら…、女性は仕事を辞めるから」という理由で、企業が能力のある女性に育成を行ってこなかった結果が、世界的に低いジェンダーギャップ指数に表れている。それは必ずしも企業側だけの問題ではなく、性別的役割分担意識を持つ女性自身の問題も多く含んでいる。

 そんな想いを持ちながらドラマを見ているものだから、心に刺さる場面や金言に反応して、涙を流しながら見た日は数えきれないほどある。
 学ぶことを諦めて家庭を支えるために働こうとした弟に、寅子が言った「大黒柱にならなくていい」。
 寅子の恩師でもある大学の穂高先生が、妊娠をした寅子に法曹界での仕事よりも子育てに専念することを促した現代の言葉で言えば「過剰な配慮」。辛そうな寅子を思っての言葉であったかも知れないが、上司がするべきことは、上から引っ張り、下から支えるサポートをすることであると私は思う。
 ネット上では、寅子が、新しい赴任先で数々の問題が起こるため、「仕事に行きたくなーーーい!」と悶絶する姿に共感する人がとても多かったそうである。
 働くということの意義は、各人が異なると思うが、「今日も仕事を頑張ろう」と思える企業に人は集まるのではないだろうか。
 そして、ドラマを見ることで1日の活力をもらっている人もたくさんいるように思う。もちろん、私もその一人である。

虎に翼

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