スタコラ:2022-07-04

8割以上の人がやってしまう「下方比較」

2022-07-04
新開

人は、自己評価が揺らぐと、自分よりダメな人と比較して、自分を安心させる傾向があるそうです。

それを証明する実験が、スペンサーという研究者のチームで行われたそうです。
実験参加者に知的能力を測る難しいテストを受けてもらい、全員に「あなたの点数は、平均点より低かったです」と伝え自己評価が低くなる状況を作ります。
これで、実際の点数に関係なく、全員に自己評価に対する脅威を与えたということになります。

その後、自己評価に脅威を与えられた実験参加者に、相手にできる限り好印象を与えるためのインタビュー課題が与えられました。
インタビューの様子を知るために、他の参加者2名のインタビュー録音を聞く機会が与えられ、その2本のインタビューテープから1本を選ぶようにと言われました。それぞれのテープの一部を聞いて、全体を聞くための1本を選ぶという方法です。
1本のテープは、参加者の印象が悪く、もう一本は参加者の印象がとても良いものが準備されていました。

さて、自己評価に脅威を与えられた実験参加者は、どちらのテープを選んだのでしょうか?
印象の悪いテープを選んだ場合「下方比較」、印象の良いテープを選んだ場合「上方比較」ということです。
結果は、8割以上の人が印象の悪い人のテープを選んだということです。
今後の課題をうまくやり遂げるには、印象の良い人のテープを選んだ方が有益だと思った方が多いと思うのですが、自己評価に脅威が与えられると出来ない人を見て安心したい心理が働くということです。

ところが、自己評価に脅威が与えられても、自己価値を確認すると「上方比較」ができるようになるそうです。
先ほどの実験のテストの後に、自分にとって重要な価値観に関する説明する文章を書く課題を行うと、8割以上の人が感じの良い人のテープを選び「上方比較」をしたということです。

もし、「自分ってダメだな」とか感じる出来事があったときには、自分にとって重要な価値観とそれがなぜ重要なのかを書き出してみようと思いました。

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