2007-08-08
新開
P・F・ドラッカーのプロフェッショナルの条件(ダイヤモンド社)の中に、「三つの領域における貢献」ということが書かれています。
なすべき貢献には、いくつかの種類がある。
あらゆる組織が三つの領域における成長を必要とする。
すなわち、直接の成果、価値への取り組み、人材育成の三つである。
こられ三つの領域すべてにおいて成果を上げなければ、組織は腐り、やがて死ぬ。
したがって、この三つの領域における貢献を、あらゆる仕事に組み込んでおかなければならない。
もちろん、この三つの領域の重要性は、組織によって、さらに一人ひとりの人間によって大きく異なる。
第一の直接の成果については、はっきり誰にでも分かる。
企業においては、売上や利益など経営上の業績である。
病院においては、患者の治癒率である。
もちろん、直接的な成果といっても、誰にも明白なものばかりとは限らない。
だが、直接的な成果が何であるべきかが混乱している状態では、成果は期待しえない。
直接的な成果は常に重要である。
組織を生かすうえで、栄養におけるカロリーと同じ役割を果たす。
しかし組織には、人体におけるビタミンやミネラルと同じように、第二の領域として価値への取り組みが必要である。
組織は常に、明確な目的を持たなければならない。
さもなければ、混乱し、麻痺し、破壊される。
プロフェッショナルの条件
続きはぜひ本を買ってお読みいただきたいと思います。
新入社員研修で、「あなたの仕事にはどのような価値があり、世の中の役に立っていると思いますか」と質問をすることがあります。
高齢者介護施設の厨房で働くことになった、新卒の女性が「私の仕事は、施設で食事を作ることです。食べる方が、いい匂いだなー、美味しそうだなー、美味しいなーと思ってもらえるものを作りたいと思います。なぜなら、もしかしたらその食事が人生の最後の食事になるかもしれないからです。」と言いました。
その女性は、ただ野菜を切ったりするという、目に見える仕事以上の価値ある仕事が見えているのだと思います。
組織が、混乱し、麻痺し、破壊されないように、価値への取り組みを忘れないようにしたいものです。
社会保険庁などの公の組織が問題になっていますが、価値への取り組みを忘れてしまっているのかもしれません。
組織ということだけでなく、一人の人間を考えたときに、「私は私のまわりの人たちに対して、価値への取り組みをしているだろうか?その責任を果たしているだろうか?」と、ときどき問いかけなければちがう道へ進んでしまうかもしれませんね。
生き生きとした組織で、生き生きした人たちが働くことに少しでも役に立ちたいものです。