2021-05-10
大隈信夫
5月3日は憲法記念日。
このところ、安倍内閣と引き続く菅内閣は、「モリ・カケ」の文書改竄、やりたい放題の「桜」、憲法違反の「学術会議会員候補6名の任命拒否」など、立憲主義とは相いれない暴挙が続き、批判が広がっている。
また、「新型コロナ感染症」の拡がりの中で、その対応が“場当たり的”で、そのために休業に追い込まれている飲食業などの十分な補償を求める声を無視し、国民の財産である国の財政を、“自分の懐”であるかのように国会の承認を後回しにして動かしている。
そこで、 国の根幹をなす憲法について 改めて考えてみた。
日本国憲法は「国の最高法規」として11章103条で構成されている。
この憲法は、国民が守らなければならない法規と考えている人が多いように思うが、もともと、憲法の構成からも、国民の基本的人権を保障することと公権力の専横を縛る機能を持つものである。
憲法の条文は、第1章に“象徴としての天皇”を規定し、第2章は“戦争放棄と戦力及び交戦権の否認”を規定している。
そして、 第3章は、「国民の権利及び義務」として、第10条から第40条に亘り最も多くの字数を割いて基本的人権にかかわる個別の権利を具体的に規定し、 国民の義務として“納税の義務”を 規定している。
そのうえで、国民の基本的人権等の権利を制約する公権力に対して、国民の権利に対する権利侵害について厳格に制限を設ける規定をおこなっている。
第4章は「国会」について、「全国民を代表する選挙された議員」で組織された「国権の最高機関」で「国の唯一の立法機関」と規定している。
第5章は「内閣」について行政権の帰属を定め、そのおこなう施策は、国民の代表である国権の最高機関・国会へ報告し、承認を義務としている。
さらに、内閣総理大臣は、内閣を代表して国会に議案を提出し、一般国務及び外交関係について報告することを規定し、内閣の行政権は、国権の最高機関である国会への報告と承認を義務付けた規定とし、内閣の行政権は、国会の承認なしには機能しない権限として縛りをかけている。
第6章には、三権の一つである司法権について、司法権の独立性を規定し、第7章には「国の財政を処理する権限は、国会の決議に基づいて」行使するとものと国会での承認、国会及び国民への報告を義務付け、第8章は地方自治権を規定している。
第9章は“憲法改正の発議”と“国民投票”による承認について規定している。
第10章では、改めて最高法規としての憲法は、“基本的人権”が何人も侵すことができない永久の権利として保障するものであり、さらに、天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、憲法を尊重し擁護する義務があることを規定している。
こうしてみると、“改憲の旗振り”の先頭に立つ安部前首相とその後継者である菅首相も異常さが際立っている。