スタコラ:2019-10-14

リスペクト

2019-10-14
大隈信夫

ラグビーのワールドカップが盛り上がっている。
日本チームが快進撃を続け、にわかファンが増えていると、話題になっている。
予選リーグでは、ロシアを30対10で下し、アイルランドを19対12、サモアを38対19と3連勝し、スコットランドを28対21で下し、19日からの決勝トーナメントへ進出した。

ラグビーの魅力は、試合中は、選手たちがあの体で激しくぶつかり合うが、試合が終わった後の“ノーサイド精神”にあるといわれ、今回のワールドカップでも、多くの観客(テレビ観戦者)の共感を集めている。
その象徴的な姿が、アイルランドとの試合が終わった後、アイルランドの選手たちは整列し花道を作り、勝者の日本選手をたたえ、そのあと、日本選手が両側に整列し、花道を作ってアイルランドの選手たちをねぎらった。
今回のワールドカップでは、選手相互だけではなく、試合終了後、選手たちが、四方の観客席に向かって“感謝”のお辞儀をする姿が広がっている。

こうした“ノーサイド精神”で示される姿は、対戦したチームに対する“リスペクト”があり、応援に駆け付けた観客に対する“リスペクト”がある。
そして、この“リスペクト”が、観る者に“すがすがしさ”と感銘を与えている。

一方、国内では“リスペクト”のカケラさえ見えない事態が進行している。
野党が要求しても国会も開かず、景気の悪化が予想される消費税が10月から10%へ増税された。
憲法遵守が求められている行政府の長が、平和憲法に背を向けて改憲を声高に叫び、その行政府の長にすり寄る国権の最高機関の議長の姿勢が問題になっている。
さらに、あの“かけ疑惑”との関わりをささやかれる当事者を文科大臣に据えた「お友達内閣」やアメリカとの貿易交渉では、国内の農業を切り捨てる内容を国民に隠しての合意、闇の中で還流する「原発マネー」、愛知県の「不自由展」をめぐっては、断罪されるべき脅迫者に加担した中止と補助金の不支給など、国民生活に直結する様々なことが“ヤブの中”と“忖度”にまみれている。

見せかけの「数の力」で強引にことを進める為政者には、国民に対する“リスペクト”など微塵も感じられない。
ラグビーワールドカップが示しているすがすがしい“リスペクト”の陰で進行している事態を見落としてはならない。

ラグビー風景

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