スタコラ:2024-10-14

再発見されたマルチタスクの力

2024-10-14
林田

 かつての私は、ギリギリまで家事を済ませ、飛び出すように遊びに出かけ、電車に飛び乗るタイプでした。
 いくつものタスクを同時にこなしては、すべてがうまくいったときに大きな達成感を感じていました。忙しく動き回りながらも、それを楽しんでいたのです。
 しかし、最近では、少し状況が変わりました。
 早めに駅に着き、予定より早い電車に乗ることが増えています。
 仕事の締め切りが気になって、頭の中にはいくつもの案件の段取りばかり。車窓をぼんやり眺める時間が増え、心に余裕がない自分に気づくこともしばしばです。

 年齢を重ねるにつれて、以前のように体力や集中力が続かなくなっているのを実感します。
 結果として、タスクに取り組むスピードが落ち、「期限内に終わるだろうか?」という不安が頭をよぎることが多くなりました。
 若い頃は、時間が無限にあるように感じていましたが、今はむしろ時間がどんどん早く過ぎ去っていく感覚です。それが、さらに締め切りやタスクに対する焦りを強めています。

 最近のビジネスや自己啓発の世界では、一つのことに集中して取り組む「ディープワーク」が注目されています。
 特に、創造的な仕事や複雑な問題の解決においては、一つのタスクに集中した方が高い成果を出せると評価されています。
 振り返ってみると、マルチタスクは私にとってかけがえのないスキルでした。
 正社員として働く妻であり、母である私は、いくつもの仕事を同時に効率よくこなすことが求められ、自分でもそれが得意だと感じていたし、長所だと自負していました。
 だからこそ、今はマルチタスクが評価されにくい風潮に、少し寂しさを感じていました。

 しかし、そんな私に嬉しい発見がありました。
 それは、デュアルタスクが認知症予防に役立つということです。
 デュアルタスクとは、二つ以上の動作を同時に行うことです。体を動かしながら頭で考える、つまり、身体と脳の両方を使うということです。
 例えば、歌を歌いながら洗濯物を畳む、歩きながらしりとりをする。この同時進行が、脳を適度に混乱させ、認知機能の回復に効果的だとされているのです。

 実際に通っている体操クラスで取り組んでいますが、思った通りにできないことが多く、その難しさが面白いと感じています。
 できないことに挑戦することで、脳も体も同時に鍛えられているのです。脳の研究が進み、こうした発見があることに感動しています。
 やはりこれからも、もう少しマルチタスクを極めようと感じる今日この頃です。

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