2008-01-07
大隈
昨年末から、阿川弘之氏の大人の見識(新潮新書)を読んだ。
この本を読んでみようと思ったのは、その帯に「軽躁なる日本人へ」--「急ぎの用はゆっくりと」「理詰めで人を責めるな」「静かに過ごすことを習え」とあったからだ。
とくに、「急ぎの用はゆっくりと」は、新鮮な響きをもつ言葉だった。
私は、元来、せっかちで軽躁、理詰め?で、絶えず心騒ぎ静かに過ごせない。
阿川弘之氏は、1920(大正9)年生まれ。東大国文学科を昭和17年に繰り上げ卒業後、海軍に入り中国で終戦を迎え、戦後、志賀直哉に師事し、その後文筆活動を続け、1999年に文化勲章を受章されている。
阿川氏はこの本で、かって所属した海軍とその後の作家生活60年の見聞から、「大人の見識」を語っている。
とくに印象に残ったことは、一呼吸おく・ユーモア。私の日常に決定的に不足している。
阿川氏は、「ユーモア」について、藤原正彦氏の遥かなるケンブリッジ 一数学者のイギリスを「僕流に要約」すると、「ユーモア」とは「いったん自らを状況の外に置く」という姿勢、「対象にのめりこまず距離を置く」という余裕がユーモアの源である、と。
わが身を振り返ってみると、「人の話をせっかちに聞き、気になる言葉に反応し、思ったことが口をついて出る」かのような毎日を送っているように思う。
なぜ、そうなのか。
突き詰めてみると、この姿勢の背景には、自分自身の「浅学、軽薄」があり、このことを悟られまいとする過剰な反応ではないか、と思う。
平成20年は、人の話をじっくり聴くように心がけ、「ワンクッション」おいて反応するようにしてみようと思う。
その際、ちょっとだけ「ユーモア」をもって対応できるといいなと思う。