2021-06-21
白水
みなさま、こんにちは。白水淳(しろうずあつし)です。
僕は、社員研修の講師などをやっています。
専門は「コーチング」という人材育成の手法をつかうものです。
コーチングとは何か?を、ものすごく簡単に説明すると
「やる気をあげるコミュニケーション手法」
といわれています(かなり大胆にまとめました…)。
その、やる気をあげる方法には、いろいろな「セオリー」があります。
わかりやすくいうと空手や華道の「流派」みたいなものです。
で、僕の流派(?)は、「行動科学」というものです。
よく誤解されるのですが、一般的に思われている心理学とは別のものです。
今日は、この「行動科学」について少し説明したいと思います。
例えば、勉強をやらない受験生がいたとします。
① 自分の部屋で
② 「受験生だからやらないといけない」
③ しかし、勉強をしない
こうしてみると、勉強しない原因は、② の「受験生だからやらないといけない」部分が、弱いからだと考えます。
そのため
・考えが甘いのか
・意識が薄いのか
・もっと将来のことを真剣に考えさせないと
などと考えます。
これは、典型的な心理学モデルです(医学モデルともいいます)。
これは勉強しない原因を受験生の「内部」に求めています。
だから、「考え」や「意識」「将来の展望」などを変えようとするわけです。
行動科学は、まったく別のアプローチをとります。
① 自分の部屋で
② ……
③ 勉強をしない
④ 勉強しても張り合いがないから
このように状況を分析します。
そして、勉強しないのは、「① 自分の部屋で」と「④ 勉強しても張り合いがないから」という「外部」の状況が原因だと考えます。
ですから①と④を変更します。
① 図書館で友達と
② ……
③ 勉強する(!)
④ 励まし合う
つまり、「① 自分の部屋で」「④ 勉強しても張り合いがない」ことが原因なので、それぞれを「① 図書館で友達と」「④ 励まし合う」に変更すると勉強するようになるわけです。
特徴的なのは、②のその人の「内部」を一切触っていないことです。
心理学モデルは、その人の「考え」「意識」などの「内部」を変えようとします。
行動科学モデルは、その人の「状況」「環境」などの「外部」を変えようとします。
僕が、行動科学がよいと思うのは、「内部」を変えようとしないところです。
「考え」「意識」などを変えようとするのは、とても大変です。長い時間がかかることもあるでしょう。
そして、多かれ少なかれ、必ず相手は抵抗します。変わったと思っても変わったふりをしているのかもしれません。
でも、「外部」ならあまり抵抗なく、しかも即時に成果がでます。
強要や管理などが必要ないので、とても人間的だと思うのです。
心理学モデルのように「内部」を変えようと思う前に、行動科学モデルを思い出して、まず「外部」を変えてみてください。
実は「外部」が変わって、実際に成果がでてくると勉強も面白いな、と「考え」「意識」が変わってくるはずだと思っています。