2014-02-17
神戸
「風吹けば桶屋が儲かる」という小噺が江戸時代にあった。
内容は、「風が吹けば埃がたつ、埃で目を患い失明する人が増える、失明した人は三味線を弾いて生計を立てる、三味線の原料である猫の皮が大量に必要になり多くの猫が殺される、天敵の猫がいなくなればネズミがはびこる、ネズミは桶をかじる、そこで桶屋が儲かる」という。 いたっておかしなこじつけだが、当時の人は面白がったのだろう。 しかし、物事はとんでもないところに波及するという教訓として捉えることができる。
このごろ身近に起こった波及効果としては、「PM2.5が発生すればマスクが売れる」 「STAP細胞を発見した小保方晴子さんが有名になったら彼女が着ているような割烹着が飛ぶように売れた」などがある。 経済問題としては、アメリカの中央銀行にあたるFRBの議長の金融を引き締めるという発言が今年初めの株価暴落につながった。 また、2008年にアメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻して、それが世界的金融危機を生み、日本も経済が落ち込んだことは記憶に新しい。 常日頃どこかで起こっているさまざまな出来事がどのように自分の身の周りに波及してくるかを予測することは面白く有意義である。
駐日アメリカ大使キャロライン・ケネディーの祖父ジョセス・P・ケネディは、稀代の相場師として莫大な財産を築いた人物として知られているが、彼はウォール街のしがない靴磨きの男のつぶやきにヒントを得て1929年の株価暴落から損害を免れたという逸話が残っている。 これなどはいち早く波及効果を予測した事例であろう。 日本では、1973年に通学電車の中である女子高校生が「あの銀行はつぶれるらしいよ」としゃべった根も葉もないうわさ話が広がってその銀行の取り付け騒ぎが起こったという事例があるが、これは珍しい波及の事例である。
現代社会においては、膨大な情報が飛び交っていてネットを通じて即座に手に入れることが出来る。 如何に良質な情報を手に入れ、そこから波及してくる効果を正確に予測するかがビジネスの成否を分ける。 広範囲にアンテナを張りめぐらして情報を取得し、取得した情報を鋭くかぎ分ける感性が必要になる。 悪質な情報を劣悪な感性で判断すると大きなミスにつながる。鋭い感性を養うことはビジネスライフに是非とも必要と思う。
どこかのラジオ放送で言っていた、感性を養うに必要なことは①読書 ②旅行 ③人との付き合い、まったく同感である。