2015-08-03
森本
コンサルタントの一般的な定義はこんな感じです。
お客様が抱えている問題・課題を明確にし、解決のためのアドバイスを行う。
○○コンサルタントと呼ばれる職業が世の中にはたくさんありますが、その職務の目的や目標はどれも同じでしょう。
分野によっては、問題
や解決
という語の具体的な意味はさまざまかもしれません。
約30年間、コンサルタント(技術コンサルタント、ITコンサルタント)としての自負を持って仕事をしてきた自分ですが、キャリアの早い段階で一冊の本に出会い、感銘を受けました。
今回ご紹介するコンサルタントの秘密-技術アドバイスの人間学がその本です。
著者である G.M.ワインバーグ氏は語っています。
誰かに道を尋ねられたなら、その人はコンサルタントを使っている。
もしもあなたがそれに答えたのなら、あなたはコンサルタントだ。
著者はコンサルタントの仕事を「人々の要請に基いて影響を及ぼす術」と定義しており、いわゆる職業分野にこだわらず、広く良い仕事をするためのガイドとして、自らが培ってきた数多くの「法則」をユーモアを交えながら解説しています。
サブタイトルに「技術アドバイス」という文言があるので文系の人は敬遠するかもしれませんが、理系にしか読めない部分はありません。
また、ハウツー本でもないので、スグに役立つ何かを見つけることも難しいかもしれません。
私自身の経験では、この本を読まなかったら、失敗しただろうプロジェクトをいくつか掲げることができる、というレベルです。
章の目次は次の通りです。
「コンサルタント業はなぜ大変か」
「逆説的思考育成法」
「わからないことをしているときでも有効」
「そこにあるものを見る」
「そこにないものを見る」
「罠から逃れる」
「インパクトを膨らます」
「変化を飼いならす」
「変化を安全に起こす」
「抵抗に出会ったら」
「サービスの売り出し方」
「自分に値段をつける」
「信頼を勝ち得る」
「アドバイスを人に聞いてもらう」
今、私はこのコラムを少し焦りながら書いています。
20分前の私が抱えていた問題(明日アップするスタコラの原稿がない、どうしよう)を解決するために、自分自身がコンサルタントとして導いた解決策の一つが、「自分でコラムを書いてしまう」であり、そのアドバイスに従って今の行動(コラムを書く)を採っています。
決してうまい解決策ではありませんが、実はこの解決策にいたるプロセスでは、この本に書いてある秘密(=法則)の一つを利用しています。
人に何かを相談される可能性のある職業(世の中のほとんどの職業がそうだと思います)に従事する社会人や大人にとって、少しだけ有用な、あるいはとてつもなく有益な内容がぎっしりと詰まった本だと思います。