スタコラ:2015-10-19

長屋の政治談議

2015-10-19
大隈信夫


ご隠居
「熊さん、最近の世の中、謙虚さがありませんなぁ」
「どうしたんですかい、ご隠居」
ご隠居
「この間から、国会の周りが騒々しかったろう」
「そうですねぇ、“戦争法案反対”って若いもんや若いママさんたちが大勢詰めかけていましたね」
ご隠居
「そうよ。熊さん、国会前だけじゃないよ。
 全国のいろんな町で、同じように集会やパレードがあった。とくに“集団的自衛権”というのがいかん」
「“集団的自衛権”ってーと…。
 アメリカさんと一緒に日本を守ろうってぇのが、何が悪いんですか」
ご隠居
「そりゃあ、日本が攻撃されていなくてもアメリカから言われたら、日本の自衛隊がどこまでも出かけて行ってアメリカの相手国を攻撃できる、そんな法律だ」
「へぇ、そうですかい。
 日本が攻撃されてもいないのにアメリカさんの戦争に参加するんですかい?」
ご隠居
「そうだ、だから憲法を専門的に勉強している先生方の多くが『戦争放棄を決めた憲法に違反する』と問題を指摘している」
「へぇ~、そうですかい」
ご隠居
「それを、憲法の解釈を変えるだけでできると言って強行採決した。
 そうやって日本が先制攻撃をすると、必ず反撃されて戦争になることは火を見るよりあきらかだ」
「そりゃーてーへんだ」
ご隠居
「だから、みんなが『戦争法反対』って大騒ぎになっているんだ。
 熊さん、知ってるかい?今回の法案は『説明不足』と答えている人が8割にもなっているのに、『審議時間は十分にとった』と“聞く耳を持たず”とゴリ押しして強行採決した」
「そりゃあいけませんね。上に立つ人ほど人の話はちゃんと聞くもんだ。ですね」
ご隠居
「そうよ。それからTPPの“大筋合意”についてもだ」
「そりゃあ、どいうことですか」
ご隠居
「“大筋合意、大筋合意”って騒いでいるけど、今度の第3次安倍改造内閣で入閣した8人の大臣は、そもそも先の衆議院選挙で『TPP反対』と公約していた」
「えっ!公約と言えば国民との約束事でしょう」
ご隠居
「そうよ。国民との約束したこと知らんぷりして口をぬぐっている」
「そりゃあ、いけません。嘘つきは泥棒のはじまりと言いますよねぇ」
ご隠居
「そうよ。こんなことを続けていたら、安倍さんがいくら『新三本の矢』とか『一億総活躍社会』、『GDP600兆円』と躍起になっても、国民から見放される」
「でもご隠居さん、安倍さんは、そんなこと言われても涼しい顔してますね」
ご隠居
「そのとおり、熊さん。安倍さんは、昭和29年、午年生まれで“馬耳東風”って顔してる」
「そんなんでいいんですかい」
ご隠居
「来年の参議院選挙も、それから衆議院選挙でも、人の話を聞かないものは信頼を失うもんだ」
「そうですよねぇ」

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