スタコラ:2021-09-27

或る日のお出かけ

2021-09-27
林田

最近は何処へも楽しく出かけられない。それは、そうだ。緊急事態だから。
県外の実家のお墓参りにも行けない。図書館は閉まっていて本も借りられない。食料品を買うときだって、なるべく短時間で済ませなければならない。
今は外出も牽制されているようで、知らない人にでも目が合えば外出の目的を説明したくなる自分がいる。
そんな自粛生活の中、外出に大満足した日があった。

8月末日、献血のお誘いのハガキがきた。
筑紫野イオンで開催します。コロナ禍の影響で血液が不足しています。O型の血液型が足りません。ご協力ください。と…。
ボランティアで外出なんて誇らしい。最近服用中の胃薬を我慢してその日に備えた。

開場15分後に到着。
すでに受付には5人の列。私の後にもどんどん人が並んでいく。並んでいるだけでもとても気分がよい。こんなに多くの人が血を寄付したいとやってくるのだ。
入口近くで、通行人にチラチラ見られても、堂々としてられる。人が多くなかなか献血バスに案内されないが、最近のぎすぎすした気分はどこにもない。通行人の人々のマスクの下の表情はわからないけど、きっと献血なんて偉いな~と思われているはず。
案内されたバスの中心部には細長い台があって、まるでバーカウンターのように見えた。
カウンターの中には看護スタッフの女性たち。
献血者に『タバコは吸いますか?お酒は飲まれますか?今日は飲みすぎないでくださいね』と声をかけている。献血者はみんな寝そべって(それが正しい姿勢)看護スタッフの優しい声かけに、今日は飲みすぎませんとか、10回目の献血だとかいう会話が聞こえてくる。
おじさんたちがカウンターをはさんで女性の看護スタッフと話している光景に、昭和のスナックが思い出された。
皆の無償の愛があふれ出しているのか、温かい雰囲気であった。
400ml献血が終わり。ゆっくり休んで、ジュースを飲んで、お土産に飲み物と歯磨粉、献血のパンフレットをもらい、ご機嫌で帰った。久々に大満足の外出であった。

帰宅して大勢の人が来ていたよ。と、はしゃぎながら娘に話すと、あんまり血液は日持ちがしないからなるべく一遍に沢山じゃないほうがいいらしいよ。と言われた。
血液の安定供給の為には定期的に常設の献血ルームに行かねばと思う。…忘れていた。

献血。
人によっては簡単にできる社会貢献。
いつまでもいつでもできるわけじゃないが、この幸福感を味わえるなら、今しばらく続けたい。

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