2007-06-07
大隈
前の「スタコラ」で森本氏は、「知的所有権」について「保護」と「文明の進歩」の視点から論じている。
森本氏は弊社のIT事業部長である。
弊社では、昨年度からIT事業部が本格的に稼動し、中小企業におけるボーナス支給などの職務評価支援ソフトウエア「ボーナス評価手助け君」や病院版職務評価支援ソフト、顧客管理ソフトなどの開発をすすめている。
このIT事業部長が「知的財産権」について、自らの「ソフトウェアを誰もが自由に利用できたら」「とても素敵なこと」、さらに、「文化的な創造物を保護することによって、世界にどんな恩恵がもたらされるのだろうか」問題を提起している。
フリーソフトとして進化してきた(している)パソコンの基本ソフト「Linux(リナックス)」を例にとって論じているが、文明・科学の発展は、案外そこら辺にあるのかとも思う。
こうしたことは、何もパソコンのソフトウェアだけに限らない。
管理・監督者の管理は、大きく言って業務管理、人事管理、財務管理の3つの分野を対象としている。
この管理手法は、それぞれの企業によって上司・先輩から受けつがれている。
その管理手法を業務分掌として厳格に定めているのが官庁・行政機関官庁であり、さらに、その手法を踏襲しているのが「天下り外郭団体」だろうと思う。
決められた予算を決められた期間に使い切り、決められた範囲以外には口出しをせず、自分の在職中に問題が起こらない(問題が発覚しない)ように気をつけていれば良いとする風潮が、今般社会問題となっている社会保険庁などの事態を引き起こしている。
しかも、こうした事態を永年放置し、年金記録のうち5000万件ともいわれる記録が宙に浮いているという。
この体質を庇いつづける政治風土はいただけない。
誤りを誤りと認めることから問題の本質的な解決は始まる。
しかし、今、「この問題を1年間で照合し解決する」といわれても、俄かには信用できない。
そんなに1年でできるのであれば、とうの昔にやってればよかったではないか。
なんだか腹が立ってきた。
この「スタコラ」は書き出しの最初となんだかちがった展開となっている。
話を元に戻すと、文明・科学の発展とフリーソフトの関係についての論議だった。
ところで、会社の経営や事業運営で、社会保険庁の旧態依然とした体質が引き起こした事態と似かよった事態が起きていないか。
管理・監督者の管理手法は本来、経済の状況や社会の発展・変化によって大きく影響され、日々進化している。
しかし、残念ながら、この進化する管理手法について多くの企業は敏感でないように感じる。
企業の将来を左右するのは当然、経営トップのビジョンと決断にあることは間違いないが、直接業務を管理する管理・監督者のマネジメント能力を高めることなしに、経営トップのビジョンを実現することは難しいと思う。
「旧態依然としたマネジメントで現在の厳しい経営環境が本当に乗り切れるのか」
この問への答えを出せるような人材育成計画を持つべきだと思う。
管理・監督者のマネジメントは、先輩の体質を受け継がれていくものであるが、社会保険庁のような企業風土になっていないか。
管理・監督者マネジメントに関して、数多くの実例があり、論文や文献も公開されている。
管理・監督者のマネジメント研修もいたるところで行われている。
厳しい経営環境だからこそ、今真剣に受け止める、そんな企業風土を確立することが求められているように思う。
社会保険庁の5000万件の照合が、本当に1年で実現できるのか見ものである。