2013-09-23
高尾
「ドコモがiPhoneを売り始める」ニュースをみたり、「子供がLINEばっかりやって困っている」というビジネスマンと話したりして
久しぶりに壊れる日本人~ケータイ・ネット依存症への告別(新潮社/柳田邦男著)を取り出してみた。
書かれたのは 2005 年。もう 8 年も前。
裏表紙に「残忍な少年犯罪の続発、効率優先が引き起こした重大事故、相次ぐ企業の不祥事―、この国は本当におかしくなってしまったのか?
急激な IT 化が私たちから奪ったものを徹底検証し、曖昧な故に芳醇だった日本文化再生を訴える。
便利さを追求すれば必ず失うものがある。少し不便でも、本当に大事なものを手放さない賢い選択をしよう。
ちょっとだけ非効率な生き方を提唱する警世の書」
中身の詳細はここでは置いといて、携帯が日本に出てきた頃は 1987 年代ぐらいと言われている。
それから 25 年あまり。ケータイ・ネットの新たなコミュニケーションツールの出現により、人間がそのスピードについていけなくなった。
携帯がなかった時代を思い出す。
1989 年(平成元年)当時広告の営業だった私は会社支給のポケベルを持ち歩いていた。クライアントとの打合せ時は電源オフ。
打合せ終えるとポケベルが光っており、移動して公衆電話を見つけて会社へ連絡。
私「ポケベルなりました。」
自社スタッフ「田中商事(T社)の佐藤さまからお電話あり広告の件で折り返し下さいとのことでした」
・・・・・・・・・
そしてT社へ電話。
私「R社の高尾と申しますが、佐藤さまいらっしゃいますか」
T社受付「あいにく佐藤は出掛けており 17 時戻りです」
・・・・・・・・・
その日夕方は行き違いで次の日の朝。
・・・・・・・・・
T社へ連絡。
T社受付「佐藤は会議中でございまして・・終了予定は 13 時でございます」
私「了解いたしました。それでは 13 時以降にまたご連絡いたします」
午後、T社へ連絡
T社佐藤さま「広告の件で打合せしたいんだけど、今日来れますか?」
私「すみません。あいにく今日がアポイント出時間が取れませんので明日はいかがでしょうか?」
T社佐藤さま「分かりました。それでは明日の 13 時いかがですか?」
私「かしこまりました。それでは明日 13時 に御社へお伺いいたします。よろしくお願いいたします」
と、最初の佐藤さまからの連絡を受けて、自社のスタッフが私のポケットベルを鳴らす作業から 6 回の連絡を要してアポイントの連絡に繋がりました。
私 | 自社スタッフ | T社佐藤さま | ||
---|---|---|---|---|
← | 連絡依頼 | |||
← | ポケベル鳴らす | |||
折り返し | → | |||
連絡 | → | (不在) | ||
連絡 | → | (会議中) | ||
連絡 | → | 繋がる! |
あらためて線を引いてみて、アポイントひとつ確定するのに、なんとまあ時間のかかるものかと。
これを今に置き換えるとT社佐藤さまが私の携帯にメールすれば 2 ~ 4 本で済み、なんと言ってもその場でお互いやりとりできるので、相当効率的なはずである。
ではそれだけ業績が上がっているか。
単純に比較はできませんが、70 年代~高度成長時代~バブル時代~バブル崩壊~リーマンショック~アベノミクス・・。
多くのものが溢れて久しく私の時代で既に物あまり時代と言われ、環境を考えない時代からエコが叫ばれて 10 年超。
ある調査では携帯を複数持つのは 40 代が一番多いらしい。
出来れば複数持ちたくないもののなかなかそれが出来ていないのが現状。そして機種変、機種変。
壊れたからと店に持って行くと「部品がない」「買い換えた方が安い」と言われる始末。これは携帯に限ったことではない。
おかしい。
技術相当進歩しているはず。
どれだけ物を無駄にしているのかと感じざるを得ない。
なんとかしたくても何とかできない領域。
携帯というツールを使って話すではなく画像情報のやり取りをする時代。
その世代が中心にこれから携帯アプリを開発するマーケット。どんどん人間のスピードを追い抜くものが出てくる。
情報が御飛び交うスピードは人間を超えた現代。
なんとか壊れないようにしたいものですね。