スタコラ:2022-02-28

「勝ちグセ」をつけるには?

2022-02-28
白水

① 「勝ちグセ」をつける育て方とは?

新人や初心者が、何かを学ぶ時に「自信」をつけさせるというのはとても重要です。
「今はまだゆっくりしかできないけど、いずれはサッとできるようになれるはず」
「まだ、完璧にはできないけど、練習すれば必ずできるようになるはず」
のように、
「できるようになるはず」
という確信が、失敗や辛い経験をのりこえるエネルギーになります。
その確信をささえるのが「自分にはできる」という自信です。

では、その自信はどのようにつけさせると良いのでしょうか?

結論から言うと、いわゆる「勝ちグセ」をつけさせることが答えになります。
しかし、そもそも勝ちグセをつけるには勝たないとダメ。
でも、勝つためには辛い練習がある…という、鶏が先か卵が先か…のような話になってしまいます。

でも、ちゃんと「勝ちグセ」をつける方法があります。
それはバックワード・チェイニングという行動科学のやり方です。

② 育て方を逆にする

ふつう、育て方というのは、
手順1→手順2→手順3…手順9→ゴール
という順番に教えていくのが普通です。
手順が1→2→3…と並んでいるのをチェイニングと呼びます。
鎖のチェーンのようにつながっているのでチェイニングと呼ぶわけです。
1→2→3…という、順番に教えるやり方はフォワード・チェイニングと呼びます。
まぁ、ふつうのやり方ですね。
その逆で
ゴール→手順9→手順8→手順7…→手順1
のように「ゴールから教えるやり方」をバックワード・チェイニングと呼びます。
このバックワード・チェイニングにどんなメリットがあるのでしょうか。

まず、一般的に「ゴール」を達成したときのほうが「手順1」を達成したときよりもはるかに、嬉しいはずです。
サッカーならゴール。
ゴルフならパット。
将棋などは、最後の局面だけをゲームにした「詰将棋」なんてありますよね。
つまり、ゴールを先に知ることで「仕事の面白さや楽しさ。成果がでたときの嬉しさ、感激」を先に体験するわけです。
そうすると、逆に基礎的な仕事や練習にも身が入るというわけです。

③ 劇的に応対がよくなった理由

僕は以前、日本マクドナルド社にいました。
そこで、接客をする女の子の新人トレーニングの方法を変えたことがあります。

ふつうは「手順1」のいらっしゃいませの挨拶から教えます。
でも、あえて「ゴール」のありがとうございましたの挨拶と商品を渡すところから、教えたことがあります。
なぜ、そうしたのかというとその店舗全体の、ありがとうございましたの挨拶の印象をレベルアップしようと考えたからです。
新人の応対印象がよくなれば全体に波及するのでは?と考えたからです。

しかし、どちらにせよ「ゴール」から教えても新人の子の応対印象がよくならなければ意味がありません。
果たしてどうなったのか?
結果からいうと、大成功しました。
考えてみれば当たり前で、新人の子は「ありがとうございました」と「商品はこちらになります」しかできないので、そこに全精力をそそぎます。
だから、渾身の笑顔で応対します。
それで劇的にお店の印象があがりました。
それにつられてベテランの子の印象もよくなりました。
また、応対がよければお客さまからの評判もよくなります。
お客さまから「ありがとうね」なんて声をかけられた子は大いにモチベーションもあがります。

当然、その後の「手順1」の基礎練習も一生懸命やるようになりました。
応対の「ゴール」から練習することでお客さまからのよい評判などの「勝ち」を体験する効果がでたのです。

④ チームの重要性

ただし、1つ注意点があります。
1つは、順番に教えないので、しばらくは新人+ベテランでチームを組んで仕事にあたらないといけません。
そのため育成するための時間は長くかかります。
また、チームを組む必要があるのでチームワークがよくコミュニケーションが円滑にできる組織でないと成功しません。

ただ、手順1→手順2…と順番に教えていくという方法でなくてもバックワード・チェイニングという方法があると知っておくことは重要です。
しばらく新入社員が入社していない会社などはベテランが基本からしっかり教えようとして新人が面白くなくてやめてしまう…なんて、おこりがちです。
そんなときは、やり方を変えてみて「ゴールから体験させてみる」という方法をとってみるといいと思います。
そうすると「仕事の面白さ、楽しさ。成果がでたときの嬉しさ、感激」を理解して、やめずに辛抱強くつづけるようになるでしょう。
そうやって「勝つよろこび」をしっかり体験をすると「自分にも、この仕事はできるぞ」という確信がもてるようになり「勝ちグセ」がつくようになると思います。

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