スタコラ:2012-11-12

森は海の恋人

2012-11-12
大隈信夫

福岡県糸島市の加布里干潟のハマグリは「筑前海加布里産天然蛤(はまぐり)」は、全国的にも珍しい純国産種の天然ハマグリ。
11月にその漁が解禁された。

天然のハマグリは、国内的には、乱獲や開発によって今年8月に絶滅危惧種に指定されているが、この加布里干潟では、地元の漁師さんたちの努力で、今年も貴重な天然ハマグリ「筑前海加布里産天然蛤」が水揚げされる。
同干潟でのハマグリの水揚げ量は、30年前は年間23トンあったものが、潮干狩りなどによる乱獲によって、1988年からは全く水揚げできない事態となったという。
その後、地元漁協では1997年にハマグリ会を結成し、独自に、当番制による漁場管理を開始し、1999年には殻長5cm以下は漁獲禁止など徹底した資源管理を行ない、定期的に資源量調査および漁獲実態調査をおこなってきた。
その結果、推定資源量は、2005年には165トン、2006年には283トン、2007年には252トンと順調に回復した。

こうしたハマグリの復活は、徹底した資源管理の取り組みとともに、ハマグリ生育環境を改善するために、加布里湾に流れ込む川の上流への植林がある。
インターネットで調べてみると、同じことが全国的に取り組まれている。
北海シマエビの伝統的な打瀬舟漁(うたせぶね-りょう)を行っている北海道別海町の野付漁協では、同漁協女性部が1988年から「お魚を殖やす植樹運動」を続け、「100年かけて100年前の自然な浜を」をキャッチフレーズに取り組みをすすめ、成果を上げている。
こうした取り組みを聞くにつけ、異常気象による自然災害の発生が報道される度に、自然環境のメカニズムを無視した開発や利便性を追求するだけでよいのかとの思いを強くしている。

こうした運動をすすめるNPO法人森は海の恋人は宮城県気仙沼に事務局を置き、3.11東日本大震災により、大きな被害をうけたが、活動を再開している。
復興途上の東北のみなさんへエールを送らずにはいられない。

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