スタコラ:2023-11-27

治療と対策

2023-11-27
森本

先日、医師にいきなり「今から三週間入院だ」と言われました。
たしかにその時、自分の人生史上、最も体調が優れない状態ではあったのですが、いきなりの宣告はあまりに酷です。
面識の無い人に自分の人生を三週間も拘束されるのは理不尽だと思いました。空いている病床を埋めるために無理矢理、入院させようとしているのではないか、などと勘繰ったりもしました。
私はその医師に強い不信感を抱きながらも、とりあえずベッドに横になり、その医師の処方する点滴や薬剤を受けたところ、一日も経たずに体調は回復しはじめ、いろんな検査でも特に異常は見つからず、三日目でベッドから抜け出し、四日で退院し、処方された薬剤を飲み続けている現在、かなり快適な体調で日々を送っています。
今となっては「三週間」は謎のままですが、まぁ、感謝しています。

入院するということに不慣れな私がなぜ最初に不信感を抱いたのでしょうか。
それは病状や医療方針についての説明がなかったことに起因しているのは間違いありません。
何の準備も心構えもできていない私を納得させることにもっと重きを置くべきではなかったでしょうか。

何が起こっているのか、考えられる要因は何か、どのような処置が必要か、最終目標をどこにおくか、実際にどのように対処するか、といった「現状分析→要因特定→対処の選択→目標設定→行動計画の策定」みたいなフローを私は無意識の内に求めていたのでした。
専門的な知識や経験を有しているプロフェッショナルであれば、どんな職業に就いている人でも持っている感覚です。
たぶん、件の医師も頭の中にはあったはずの内容で、それをクライアントである私にどのように伝えるか、どこまで伝えるか、みたいなところで「たいした説明もしなかった」ことこそが、私が抱いた不信感の根源であるように思います。

これは私自身の普段の業務にも当てはまることです。
コンピュータのトラブル解決を依頼された場面で、「これは内部でこんなことが起こっていて、考えられる原因はこうで、解決方法はこれこれがありますが、今回はこういう方法で解決しますので、これからはこのような使用方法をお勧めします」みたいな説明を丁寧に実行できているか、というと自信がありません。
いつでもこのような対応ができていれば、私はもっと多くの信頼を得ていることでしたでしょう。きっと。

ですが本当にどんな時もこのような丁寧な、ある意味バカ丁寧な説明や説得が必要かというとそうでもないかもしれません。
クライアントから強い信用を得ているコンサルタントには、そのような回りくどい説明なんか不要です。
「あの先生が言ってるんだから」「餅は餅屋」そうクライアントに思ってもらえるような良好な信頼関係の構築こそが、コンサルタントの目指すところかもしれません。

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