スタコラ:2020-08-17

そんなバカな!

2020-08-17
森本

あるネット番組で竹内久美子氏の名前を見つけました。
彼女が著した何冊かのエッセイ本を読みふけったのは 30 年近くも昔のことで、今回初めて接したその顔や話し方はまさに「理系女子」という感じ。還暦を超えた今も、その痛快な論理を展開し、さまざまなことに言及しているらしい。
久しぶりにその代表作「そんなバカな!~遺伝子と神について~」を読み返しました。
やっぱり、面白かった!
コロナ禍の中、今回のコラムは、その本の紹介です。

嫁と姑はなぜ憎み合わねばならないのか?
魅力的で性格もいい男がどうして浮気だけはおさまらないのか?
賭博と酒におぼれ、すってんてんになっても渡り歩く男がなぜ滅びないか。
倹約にいそしみ、お金がたまると「うしし」とほくそえみたくなるのはなぜか。
そもそも賢いはずの人間がときとしてアホなことをしでかすのはなぜなのか?

書籍データベースの内容紹介より

この内容紹介は少し不親切で、そうした疑問へ「利己的遺伝子という概念をベースにした動物行動学的見地から回答」するというのが正しい本書の説明でしょう。
やさしい語り口で難しい言葉も少なく、だけど衝撃的な事実をユーモアを交え、時には辛辣で皮肉たっぷりに展開される論理のどれもが痛快で、初めて読んだ時にあまりに感動し、何人もの友人に勧めた記憶が蘇りました。
私自身は、最初の「働きバチがなぜ巣を守るのか」の遺伝関係の説明でもう興奮してしまって、世の中の仕組みの一部分が理解できた気になったものでした。
動物の話題から徐々に、人間行動への話の膨らませ方は牽強付会と捉えられそうで、今回読み返して、少し無理な展開だと感ぜずにはいられない部分もあったのですが、でもそんなことでも、知らないよりは知っていた方が、肩肘張らずに心穏やかに日々を送れるような気もします。
人間なんて、ただの遺伝子の乗り物なんだから…(未読の方には意味不明でしょうが、この本の一番言いたいことはこれです)。

・喘息(ぜんそく)で死ぬ子供はいない
・親が子をしつける理由
・モテる男は必ずハゲる
本当かどうかは疑問です。こんな解釈をすると、すっと納得いくんじゃない、という著者の高飛車な立場からの意見です(決してイヤ味な文章ではないので頷いてしまう)。

本書は一般向けに書かれたエッセイという体裁なので、学術的な内容というよりは、そこから展開する竹内氏独自の考えが前面に出されています。
あまりに売れた本だからでしょう、多くの批判もあるようですが、エッセイ本であることを念頭に読めば何も問題ありません。世の中にはこんな考え方もあるよ、ということを紹介しているだけですから。

調べてみると、2000 年以降の竹内氏はこんなことも言ってるらしい。
・人間は見かけが大事。
・日本のリベラルは男の睾丸が小さいせい
睾丸の大きさとリベラリズムがどう関係するのか不明です。新しい本も読もうと思います。

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