2017-11-13
大隈昭子
これは、今年5月に出版された本の題名です。
著者は、林田寿賀子さん。
この本のあとがきには、訪問介護に24年間携わり、南島原市社会福祉協議会南部ヘルパーセンターの管理者をしておられたと記されています。
私が林田さんと初めてお会いしたのは、3年程前だったでしょうか? ある訪問看護ステーションの1周年を祝う会で、名刺交換させていただいたのです。
ところが、その出会いから数か月して、「末期がんを宣告されて、闘病中なのよ」との話を聞いたのです。
「えっ!!お会いした時は、元気そうだったのに」と驚きました。
「進行が速くて…。
でも、林田さん、24年間、訪問介護現場での経験を書きとめられており、その貴重な経験を後進のために役立てようよと、勧めているの」と同僚や友人の皆さんたちが自費出版を提案されていました。
闘病中の林田さんは、こうした周りの声に押され、それまでノート2冊、120ページにおよぶ克明な記録から、実に4週間、末期がんと向きあいながらも、体力を振り絞って、原稿をまとめ上げられたそうです。
そして、訪問看護ステーションなど医療や介護現場の方々の強力なサポートで,この自費出版本が出来上がりました。
この本には、林田さんの高齢利用者に対する声掛けや会話内容を中心に、認知症高齢者と向きあう家族への声掛け、病気発見の事例、安否確認の際の対応など沢山の経験がまとめられ、高齢利用者への思いやり、観察力、家族への配慮など、その一つひとつに、林田さんの思いがあふれるものとなっています。
また、長い間ヘルパーとして多くの人達を支えてこられた林田さんは、“癌になって私が想うこと、伝えたいこと”として、自らの患者(利用者)としての想いも率直に書き遺されています。
出版された本をあらためて手に取り、じっくり読ませて頂くと、新たな感動で涙があふれました。
林田さん「あなたに残したい想い」確かに受け取りました。
*林田さんは平成28年6月8日、旅立たれました。享年59歳。
ご冥福をお祈りいたします。合掌。