スタコラ:2019-03-18

お2Fへどうぞ

2019-03-18
森本

ある銀行の案内板 右はある銀行で見かけた案内板とのことです。
ぱっと見、わたくし自身は何の違和感もなく、頭の中で「お二階へどうぞ」と読みましたが、よくよく考えてみると「お2F」は変です。
これは何と読むのが正解なのでしょう。おにえふ?おつーえふ?おセカンドフロア?
ちょっと考えてみました。

まず「2F」がいけません。
ツーエフなのかセカンドフロアなのか、ここに読み方さえも定まっていない「F」を持ってくることに、少し憤りを感じます。
意匠面で字数を節約するために漢字をアルファベットに置き換えることはよくありますが、「F」と「階」ではどちらも同じです。
また、漢字の持つ堅苦しさを軽減し、ポップさを表現するためにアルファベットを利用することもあります。ところがこの場合は、その前に「階段で」という文言があるのでわざわざ「F」にする理由が見当たりません。
認知度の高い一般的な言葉(の漢字)をアルファベットや英単語に置き換えて、相手を煙に巻くという手法はわたくしが身を置くIT業界を始めとして最近では多く見受けられます。これは間違いなく悪しき習慣です。反省。
「二階」か「2階」で充分です。

「お2F」の「お」は美化語(丁寧語)とされています。
丁寧で且つ上品な言葉遣いによって相手に敬意を示すのが美化語の役割ですが、そもそも「二階」を「お二階」とすることで示される敬意が何であるのか疑わしい。一つ間違えると慇懃無礼とも取られかねないと思います。
そんなに違和感がない、という意見もあるでしょう。では「お三階」や「御七階」なんて使うでしょうか。「二階」にだけ「お」を付けるのが許されていることに気持ち悪さを覚えます。
それでも「お二階」という言葉は巷にあふれているのは事実です。これはなぜでしょうか。
日本じゅうの誰も言及していないのでわたくしが真実を明らかにしましょう(笑)。
実は「お二階」の「お」は美化語(丁寧語)ではなく、元々は尊敬語だったのではないかと思います。
つまり相手の住居に対してのみ付け加えられた「お」が、いつのまにか誤って丁寧語のように使われ始めたのではないか。日本家屋では三階なんて稀だったし、あったとしてもそれについて言及することは無かったので「お三階」という言い方は広まらなかった、というのがわたくしの推測です。
素直な気持ちになって「お二階」と声に出してみると、それは自宅や自社の二階を指すよりは、会話している相手側の「二階」を指すのが自然ではないでしょうか。
ということで、銀行内で自らが設置した案内板の中に「お二階」という表現があるのは、絶対におかしい、と断言できます。

日本語として読めない言葉の先頭に「お」や「御」を付けることの愚は繰り返されて然るべきでしょう。
世の中には「○○○まで、お TEL ください」なんてチラシも存在するそうです。困ったことです。

案内板を最初にぱっと見たわたくしは何の違和感もなく、頭の中で「お二階へどうぞ」と読みました。あくまで、頭の中で。
その時は「お」が間違っているなんて気づきもしませんでしたし、あえて声に出すこともありません。
これが学校や役所でなく私企業である銀行内でのことなので、あまり気にせず「ヘンな使い方だけどまぁイイや」と考える人もいそうです。
なんだか細かい所に目がいくようになって、それについツッコミを入れたくなって、これって高齢化?いやいや、まだ若い証拠?どちらでしょう。

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