スタコラ:2020-04-13

社会保険労務士の役割

2020-04-13
大隈昭子

新型コロナウィルス感染症は、緊急事態宣言が発出される事態となり、国民の生活に重大な影響を及ぼしています。
こうした状況のなかで、多くの事業所から社会保険労務士の役割に関わる質問や問い合わせが寄せられています。

ある在宅介護事業所からは、「介護ヘルパーの訪問数が、減って賃金が払えない」との相談があり、スナックのママさんからは「自粛でお客様が9割以上減っている。ホステスさんへのお給料は払いたくても長引くと支払えない」との訴えがありました。
スポーツジムの社長さんからは、「お客様のキャンセルが続き、社員の仕事が激減している」休業手当の保障はしたいが、助成金があれば教えて欲しい、医療関係事業所からは、「感染地域に出掛ける職員に、2週間の自宅待機をさせるが、賃金保障はどうしたら良いのか」との問い合わせもありました。
また、ホテルや飲食店のダクトや消臭・清掃を請け負う事業所からは、1件の工事がキャンセルになり、5月6日までの閉店で15店舗の定期作業がキャンセルになったので、セーフティーネットの活用を考えていると、相談があり、また、育児休業から職場復帰したばかりの社員さんからは、「保育園から登園自粛の要請があったが、どう対応したら良いでしょうか」などの質問が寄せられました。

厳しい現状の中でも「何とか労働者の雇用を守りたい」「事業の継続のために何とかしたい」との事業者の皆さんの必死の熱意が伝わってきます。
こうした皆さんの切実な実態や質問、問い合わせは、今、社会保険労務士としての私に、「出来ることは何なのか」を突き付けられるものとなり、あらためて考えさせられる機会となっています。

そして、今回の新型コロナウィルス感染症の影響の拡がりに対して「雇用調整助成金の特例」を積極的に活用するサポートに取り組んでいます。
この制度の具体的な活用方法などを説明し、事業所毎の現状をお聞きし、計画の立案などの具体的なとりくみについて丁寧なサポートを心掛けています。
また、融資の相談をされる事業所には、関係機関の相談窓口や相談事例等を紹介しています。

こうした取り組みのなかで、“自粛”だけが求められ、それへの補償がいつまでも明確にならない日本の政治、特に政府の姿勢に怒りを感じています。

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