2015-03-16
森本
前回のコラムに「パパの返信は長い」と言われたとありました。
家族間のやり取りなのだから、ほとんどのやり取りは短い返信でも事足りることがほとんどなのかもしれません。
これが、家族でなくビジネス上の付き合い、それもあまり顔を合わせない間柄の相手だと、あまりに短い返信はそっけなく、冷たい印象を与えるような気がします。
いや、逆に、ビジネスなのだから簡潔な短い返信の方がいいのでしょうか。
中には長い文章でのやり取りを煩わしく感じてしまうこともあるかもしれません。
先週、私はあるお客様に一通のメールを送信しました。
そのお客様から依頼されている業務(ウェブサイトの制作)の進捗具合を報告する内容です。
そして、制作作業の過程で確認しなければならない項目が二つ出てきたので、それについて回答をくださいという旨を添えたメールです。
私が出したメールへの最も短い返信は、「1はその通りです。2の件は調査次第、折り返し返答します。引き続きよろしくお願いします」のようなものだと思います。
たいへん簡潔で、良い意味でビジネスライクな返信であると思います。
ところが実際にいただいた返信は少し違いました。
確認項目への返答の前に、報告そのもののについて、「細かいご配慮ありがとうございます」や成果を楽しみに期待する等の文章が添えられていました。
まぁ、普通によくあるやり取りではありますが、こちらが期待していない二、三行の文章が追加されていることに嬉しくなりました。
世界で一番短い手紙のやり取りをご存知でしょうか。
ビクトル・ユーゴーが出版社に、「?」の一文字だけを書いた手紙を出し、出版担当者からは「!」の一文字だけの返信が来た、という話です。
最新作であるレ・ミゼラブルの売れ行きを心配していたユーゴーが、「本の売れ行きはどうだろうか?」という思いでクエッションマークだけの手紙を出し、それに対し「とても売れている、絶好調だよ!」という思いを込めて、ビックリマークを返したわけです。
この話が事実だとするのなら、たぶんレ・ミゼラブルが発売される前から、作者と出版社の担当者との間で何度も「今度の本は売れるだろうか」「いや、この内容なら大丈夫ですよ」みたいな話がされていたのでしょう。
普段からそれなりの付き合いがあり、問題点を共有している間柄であればこそ成立したやり取りだと言えそうです。
短い返信にはビジネスライクな一面があると同時に、当事者間の関係(距離)や、共有する問題が明確であることなどが影響しているようです。
個人的には、短い返信を返されるのは何ともないですが、相手の長文メールに対してこちらが短い内容の返信をするのには少しためらいを感じてしまいます。
考え過ぎでしょうか。