2022-11-14
大隈昭子
今、「男性中心企業の終焉」―サブタイトルは、経済停滞にあえぐジェンダー後進国からの脱却
という本を読んでいます。
第一刷発行が 2022年 10月 20日、まさに発行されたばかりの本です。
作者は、男女雇用機会均等法が施行(1985年)されて3年後、朝日新聞社に入社し、その後、フリーのジャーナリストとして転身して活躍されている浜田敬子さん。幅広い年代の多くの女性たちを取材し、自らの体験も交えて執筆されている内容は、共感することが沢山ありました。
内容は、スイスに本部を置く非営利団体「世界経済フォーラム」が毎年発表しているジェンダーギャップ指数
。
今年は、日本の順位が 146 か国中の 116 位と発表され、特に、引き下げているのは政治分野 139 位、経済分野 121 位の2分野。
経済分野の足を引っ張っているのは、男女の賃金格差の大きさと、管理職や役員における女性の少なさで 130 位と発表されています。
女性が、その個性と能力を発揮できる社会を実現するために
と制定された女性活躍推進法(2015年)は、企業に「数値目標を盛り込んだ行動計画」を策定・公表することも義務付けられています。
にもかかわらず、「日本のジェンダー格差が一向に改善しなかったのは、“なぜなのか”」と、多くの働く女性を取材しながら、原因を掘り起こしていく手法で解明されています。
「両立支援制度が強化した性別役割分業意識」の項目では、両立支援制度の普及によって、「確かに出産による女性の退職を防ぐことには繋がった」が「この制度を使っているのは、『誰か』」と問題提起し、「男性が大黒柱として稼ぎ、家事育児を担うのは女性という意識が根強く残ったままで制度が充実されれば、多くの企業で『女性のための制度』とうたっていなくても」、「育休は当然女性が取るもの、育児のための短時間勤務は女性が取るものという暗黙の了解が定着してきた」と、その本質が「性別役割分業意識を固定」させていると分析しています。
私は、この問題提起と分析に、戸惑いとショックを覚えました。
それは、私が社労士の日常業務として、両立支援制度の普及・推進をしてきたからです。
この本の「おわりに」では、「気候変動問題とジェンダーには共通点が多く」、日本は、この「2つの課題で『後進国』と言われている」とし、さらに、「なんとなくこれまでの慣行のまま無意識で差別を放置し、良かれと思ってやっていることが、今では差別につながっている人」ともあり、「自ら変われないのは、現状を正しく認識し」「改善しようとしないということだ」との指摘は、じっくりと考えてみる必要があると感じました。