スタコラ:2014-10-27

ピーマンの肉詰め、お好きですか?

2014-10-27
柿本

私はピーマンが嫌いだった。

毒々しい緑色のあの野菜を食べなければならない意味がわからなかった。
栄養豊富な緑黄色野菜だから食べるべきなのか?
調べてみると、βカロチンを多く含む赤く熟したパプリカは緑黄色野菜だが、ビタミンCがメインのまだ青いピーマンは違うらしい。 ビタミンCならミカン食べればいいじゃない?、緑黄色…なら甘いカボチャ食べればいいじゃない?。
理屈っぽかった少年時代の私はそれくらい考えていたはずだ。

ある日の食卓、それまで野菜炒めの一員に過ぎなかったピーマンが別の姿で私の目の前に現れた。「ピーマンの肉詰め」である。
いまではすっかりポピュラーになったレシピだが、ネットの無かった時代。 きっと母はお昼の料理番組か、主婦の友とかいう雑誌から発想を得たのであろう、好き嫌いの激しい子供になんとかピーマンを食べさせようとずっと思案していたに違いない。
ピーマンの肉詰め 万を辞して食卓にピーマンの肉詰めは登場した。

私は眼前の新参者をおそるおそる勇気を出して口に運んだ。もぐもぐもぐ。

うっ

うまい!

うまいじゃないか!

子供が嫌いなピーマンに子供が好きな肉(ミンチ)をこってり盛り込み、パンパンにし(形を変え)、私が大好きな甘いケチャップで味付けすることで、母は「好き嫌いの激しい子供にいかにピーマンを食べさせるか」という課題をたった一晩で解決したのだ。

その日以来、ピーマンは私の好物になった。
慢性的金欠状態だった学生時代、カステラ屋に勤めていた叔父からもらっていたカステラの端っこを主食にしていたときも(実は端っこのほうが美味しかったりするのだが)ピーマンの肉詰めは私のメインおかずであったことを懐かしく思い出す。

「単なる食わず嫌い・・・」そうかもしれない。
しかし、何事もきっかけを与えることは大切だ。食べ物に限らず、嫌いなものを好きなものと組み合わせることで、とってもそれを好きになることもあるのだ。
ああっ、勉強になりました。お母さま。
私も歳も歳だし、そろそろ、こういう「きっかけを与えられる存在」にならなければ。

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