スタコラ:2023-01-23

いちばん美しい数学の式

2023-01-23
柿本

スイスに大数学者がいました。
名前をオイラーといいます。
まるでモーツアルトのような多作な天才で、大量に書いた論文をまとめた「オイラー全集」が 1911 年から刊行されていますが、まだ終わってないそうです(笑)。
そんなオイラーが見つけた数々の定理や公式のなかで、とりわけ美しいのが、オイラーの等式と呼ばれる次の式です。

オイラーの等式
(e は自然対数の底、ι は虚数単位、π は円周率)

e は高校数学で出てきた、なんだかよく覚えてない定数。 ι は二乗するとマイナス1になる変なやつ(虚数単位)、そして π は無限に続く円周率です。
なんだか分からないこれらのメンツが組み合わさるとマイナス1という、すごく単純な数になることをオイラーは見つけました。これ、凄くないですか?

初めてこの式を見た時、私は驚きで腰が少し浮きました。
数学博士、森毅は「π (円周率)が、直径でなくて半径と円周の比ならよかったのに…」と言っていたそうです。
もしそうなら、計算するとマイナス1がプラス1となり、オイラーの等式はさらに美しくなるからです。

ここでいう「美しさ」とは、複雑で難解な世界を数学の短い式ですっきり表現できる点です。
結果がシンプルだから、そこにたどり着く過程も簡単だとは限りません。
むしろそうでないことも多く、美しい式にたどり着いた数学者は単なる天才ではなく確実に努力家でもあるとも言えます。

私は数学のむずかしい話はもう忘れてしまいました。
しかし、オイラーの等式についてなら、森先生と一晩くらい美味しい酒が飲めたと思います。
また、森先生なら相手が宇宙人でも数学の話で盛り上がれたことでしょう。
数学は学問のなかで唯一、宇宙共通で成立するものだからです。

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