スタコラ:2013-01-28

なぜ、クマは私を魅了するのか?

2013-01-28
柿本

ハリウッド映画、テッドが公開された。
この映画は、「クマのぬいぐるみとおしゃべりがしたい」という少年の願いが本当にかなうという、奇想天外な設定からスタートする。
テッドと名づけられたそのぬいぐるみには命が宿り、少年とクマは、あるときは励ましあい、あるときは喜びあい、会話を楽しみ、雷が鳴ると、ベッドにもぐり込んでおまじないを唱え、二人でいっしょにじっと耐えていた。
とてもファンタジックで、愛らしいストーリー展開だ。……ここまでは。

月日は流れ、少年は年をとる。そして、クマも同じように年をとった。
主人公の男性はすっかり大人になったが、クマは、なにせ、ぬいぐるみなので、見かけは変わりようがなく、かわいいテディベアのままである。 そのくせ、まるで悪い人間の大人のように堕落した生活をするクマ。 女の尻を追い、放送禁止用語を口にし、マリファナも吸う。最低のクマだ。
ああ、なのに、なぜ、このクマに私は惹かれるのか。

こんな気持ちは前にもあった。
熊本の県産キャラクター、「くまモン」をテレビで最初に見たときのことだ。
「探偵ナイトスクープ」という、お気に入りの番組だったと思う。 熊本在住の若者が「くまモンが大好き。くまモンのぬいぐるみをかぶって好きな人に告白したい」という依頼内容だったと記憶する。 好きな人に告白するのに、どうしてくまモンが?
そのときは不明だったが、今の私にはよくわかる。
クマの力を借りたかったのだ。
くまモンは、彼を勇気づける存在だったに違いない。

残念ながら、依頼結果はよく覚えていないのだが、クマLOVE度に関していうと、その若者は「大好き」というレベルを超えていた。
彼の部屋は、くまモンのポスターや、グッズであふれかえっており、クマのことを語る彼は、とても嬉しそうで、その瞳は時として潤み、何かに感動しているようにすら見えた。
くまモンがゆるキャラNo.1になる、はるか以前の話である。
「好き過ぎている」と、表現せざるを得ないほど、彼は、くまモンを愛していた。

その番組を観てからというもの、私はいたるところで、目つきの独特な、あの黒いクマを目にすることになる。 そして、それは私にとって心地よいフィーリング。
そう、あの若者同様、私もすっかりクマに魅了されたのだ!

まったく、あのクマといい、このクマといい、なぜ、こうもクマは私を魅了するのか?
思考を集中して考えてみた。
単純にかわいいからか?私は動物がそれほど好きなのか?
いや、それじゃあ、そこらの野良犬に感動したことがあるか?
ないなぁ。それとも何か私の根源的なルーツに関係しているんだろうか?
ん? ああっ、そうか、そうだったのか。たったいま気がついた!
私の父は、熊本出身!
世界中のクマは、父から受け継いだ、熊本パラメータを共鳴させていたのだ。
私の心に本質的に眠る、クマモトの「クマ」が呼び起こされていたに違いないのだ。
私の中の、その「クマモト魂」は、外部の「クマ」を見ることによって目覚め、喜び、震え、歌いだしていたのだ。
ルルル~♪ほら、思わず歌ってしまった!
ああ、すべてが氷解した。もやもや感がすっきり無くなって晴れ晴れした気分だ。
こいつは新年早々、縁起がいい。メデタシ、メデタシ。

ま、そういうことにしておこう。クマめ……。

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