スタコラ:2019-09-09

放生会2019

2019-09-09
森本

今月 12 日から 18 日まで、博多三大祭りの一つ「筥崎宮放生会」が開催されます。
トータルの人出としては三大祭り中最大で、西日本でも最多の露店・出店数を誇る、千年以上の歴史ある祭りです。
「生命を慈しみ秋の実りに感謝する・生き物の殺生を慎む」という主旨の祭事ですが、訪れる人にとってはそんな主旨なんてどーでもよくって、ちょっと着飾って、人混みの中で揺られながら、買い食いをしたり、ここでしか味わえないチープで猥雑で、だけどどこか懐かしい気分に浸ることのできるイベントです。
以前にも書きましたが、放生会についてまた書くことにします。

放生会には着飾って。
よく知られた話に「博多の男たちは山笠では奥さんにさんざん迷惑をかけたので、そのお返しに新しい着物を買ってご機嫌を取る。これを放生会着物(ほうじょうやぎもん)と呼び、それを着て放生会に出かける」と言われその通りでもありますが、放生会で着飾るのは「ごりょんさん」だけでなく家人全員です。
今年もこうして家族全員で着飾って放生会へ行くことができました、ということを周囲にアピールする主人の見栄でもあります。
「衣装見るなら放生会」「放生会着物やれんとは男の恥」こんな諺もありました。

放生会には毎日行く。
これは私のような筥崎宮の近所に住む者だけの習慣だったかもしれません。子供の頃は期間中とにかく毎日なにかあると「放生会へ行きんしゃい」と怒鳴られました。親戚も多く訪れるので子供の世話なんて煩わしいと思った親の口癖でした。
「放生会の浜風ぃ当たりゃぁ風邪ひかん(放生会の浜風に当たると風邪ひかぬ体に育つ)」参道の端は海岸ですので浜風には当たりっ放しです。真意はともかくこんな諺もありました。

放生会で小銭を使う。
いろんな露店があるので買い物をいっぱいします。といってもたいそうな買い物ではありません。普段は口にしない菓子類を買ったり、お化け屋敷や見世物小屋へ入ります。
昔は「新生姜」を大量に買い近所に配るという風習もあったそうです。
風流とは縁遠かった私の祖父でさえ、放生会では価値の不明な盆栽を毎年買って帰り、祖母に見つからないように庭の隅に置いていたのを思い出します。

ネット配信のニュース番組「アベマプライム」で先々週「スマートシティ福岡」の特集がありました。
福岡市の特区を活用した様々な取り組みを紹介するもので高島市長も全国区の放送でテンション高く口角泡を飛ばしながらの出演でした。
福岡市民が祭り好き(=イベント好き)であることが垣間見れる番組でしたが、その実「飽きやすの好きやす(=惚れっぽいけど冷めやすい)」という一面があることも事実です。
この一週間は思いっきり放生会に浸りきり、浮ついた気分でいることは福岡市民として正しい在り方であると思います。たぶん…。

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