2017-01-16
神戸
「犬も歩けば棒に当たる」は、昔遊んだいろはカルタの一枚目に出てくる文句である。 それ故に犬棒カルタと呼ばれることもある。
私の小さかった頃は、正月といえばおろしたての新しいカルタで友達や家族とカルタとりを楽しんだものである。 言葉の意味も解らずにただ獲得したカルタの枚数を競ったが、それなりに楽しかった。 しかし近頃、カルタを取り出して孫たちを誘ってみても、あまり興味を示さない。 彼らの興味をひくものはもっぱらファミコンやテレビゲームである。 カルタの方がお面白くて有益なのにと、はなはだ残念である。 ファミコンは子供を狭い独りの世界にとじ込めてしまうが、カルタ遊びは広い人間関係の中に引き戻す。
いろはカルタは江戸時代の後期に始まったと言われているが、当時のものの中には、今では死語になったり、放送禁止用語になったりしているものもあり内容は変化している。 出版社や地域によってもかなり異なっているようだ。 ただ、いずれの場合も47枚のカードには名言や格言が多く含まれており、大人になってからも大いに役に立つ。 遊びを通じてカルタの言葉の意味を解らせれば、これは子供たちにとって大きな人生教育になるのではなかろうか。
ちなみに、私の好きな格言は「果報は寝て待て」と「人のふりみて我がふり直せ」である。 これらは、いつどのカルタに載っていたかは定かでないが、小さい時にカルタで覚えたことは間違いない。 以来ずっと頭の中にある。 果報を求めすぎると人間があさましくみえる。 常に果報には恬淡としていたい。 また、他人の言動を咎める前に自分に同じ言動はなかったかを顧みる。私の人生訓である。
こう言う講釈を長々と垂れると、「下手の長談義」「老いては子に従え」とカルタの文句が聞こえてきそうだから、ここらで止める。