スタコラ:2006-07-29

美しい精神

2006-07-29
日下

最近は新聞やテレビのニュースで明るい話題に接することが少ない気がしますね。
どちらかと言うと腹の立つことや首をかしげることの方が多いようです。
かたや国の金融の舵取りをする人物が自らもマネーゲームに参加していても職を辞さない、周囲の者もそれを咎めもしない。
かたや世界に冠たる自動車メーカーが命にかかわる部品のリコール隠しをしていた等々。
思いつくだけでも、これでもかと言うほどのあきれる事件や不祥事の続発です。

何だか日本という国や日本社会はこれから大丈夫なの?という思いがします。
然るべき地位にいる人物や組織がその地位や権威を自らの私欲追求の道具として使い始めたら、日本に限らず、社会は立ちゆかないのではないでしょうか。

「ノブレス・オブリージェ」という言葉があります。
およそ高い地位にある者は常に民衆に率先して苦難にあたるべきであり、普段の暮らしぶりからしてそう心がけよという、指導者のあるべき姿勢を説いた戒めの言葉です。
「ナイト精神」というのも近いかも知れませんね。
このような美風は、日本ではあるいは「葉隠精神」として語られ、「先達の心得」として受け継がれていたのであって、洋の東西を問わず尊重されているものと思っていました。
しかし、先のニュースしかり、庶民の窮状があきらかであるにもかかわらずこれに冷淡な対応をとる首相やいわゆる「勝ち組」を弁護し自分もこれを謳歌享受する学者大臣の厚顔無恥ぶりを見ると、最近はこれも絶滅に瀕しているのかという不安を覚えます。
日本の随所に、まだまだこの精神が、地味ではあっても脈々と息づいていると信じたいのですが。

もちろん、今日の民主政治のもとでは、権力者・指導者・責任ある人物を監視し批判し、大げさに言えば指導者を育てる権利義務が私たち個人にもあるわけですから、それは忘れないでおくとしても、政治も経済も苦々しいニュースが多いことに閉口してしまいます。
問題は膨大複雑にして深甚であり、私ごときにはとても論じ切れませんが、皆さんはどうお感じでしょうか。

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