スタコラ:2023-10-30

教育・福祉・医療・介護・保育予算の増額を求める運動のひろがりを

2023-10-30
大隈昭子

 新聞・テレビ等で報道される「教育・福祉・医療・介護・保育予算の増額を求める運動」のひろがりを実感します。
 教育現場では、教員の長時間勤務がまん延し、「教員不足」が深刻になっていること。その解消に向けて、全国署名の呼びかけは、現場で働く皆さんだけでなく、教育研究者らも一緒に「シンポジウム」を開き、授業の持ちコマ数や教職員定数など抜本的改善策について、議論されています。
 教員の長時間勤務は、教員を疲弊させるだけでなく、子どもたちにも大きな影響を及ぼし、「若者の教職離れも深刻である」として、授業のコマ数を削減する必要性を強調。踏み込んだ具体策が示されています。
 公立学校の教員には、給与額の4%を支給すると定めた教員給与特別措置法(1972年施行)が適用され、残業代が支払われないことから、「定額働かせ放題」と言われ、大きな批判が広がっています。
 また、保育現場からは、「保育士の賃金は、全産業の賃金に比べ、月額7万円も低く、自立して生活できない」など切実な声が出されています。
 そうした中で、「子ども達に、もう1人の保育士を」合言葉に保育運動が広がりを見せ、自公政権に迫っています。
 しかし、岸田政権は、「異次元の子育て支援」と言いながら、現実的にはほとんど効果のない加算による職員配置で誤魔化し、家族依存を強めようとするなど、全く抜本的な改善策をもっていません。
 また、医療の現場からは、人員不足で現場の働き方が厳しくなるなか、医療・介護規制緩和策は許せない。「医療・社会保障の拡充で命と人権を守る政治への転換を求めよう」との訴えに共感が拡がっています。
 一方、現在とどまることのない物価高騰で、国民の暮らし向きが急速に悪化しています。
 日本銀行が13日に結果を発表した「生活意識に関するアンケート調査」で、1年前と対比した現在の暮らし向きについて「ゆとりがなくなってきた」の回答が57.4%に達しました。そのように回答した理由(複数回答)は、「物価が上がったから」が88.7%と最も多く、2番目に多い「給与や事業などの収入が減ったから」の34.5%を大きく引き離しています。
 今国会で、岸首相は、「経済」「経済」「経済」と連呼し「税収が増える分を減税で国民に」と減税を強調していますが、今年の冒頭に、政府は、違憲の大軍拡のために5年間に43兆円の大増税を突然提案しています。
 減税といくら言っても増税を誤魔化す方便であることが見透かされ、国民の批判が相次ぐのは当然の結果と言わざるを得ません。

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