スタコラ:2018-02-12

「人生の気品」とは

2018-02-12
大隈昭子

「人生の気品」という本を読みました。
 俳優・作家・写真家・映画監督・漫画家・画家・ノーベル賞物理学者など各界の15人の著名な方が、縦横に「生き方」や「平和について」「苦労や苦悩」「大切にしたいこと」などを語られ、次代を生きる者たちへの提言のように思えました。

 俳優の宝田明さんは、第1作の「ゴジラ」(1954年公開)の主演俳優。「試写室で初めて映画を観た時1人泣いてしまった」と。
「ゴジラは、空想上の動物ですが、人類が核実験さえしなければ、洋上に現れることはなかった」 「最後に人間が開発したオキシジェン・デストロイヤーによって海の藻屑と消えて行く」 「ゴジラも核軍拡競争の被害者ではないか、と涙が止まらなかった」「もう戦争はこりごり」と回想されています。
 女優の香川京子さんは、 「戦争法反対で立ち上がった若いママさんたちに共感。戦場に行かされ、犠牲になるのは若い人たち。これからの日本を背負っていかなければならない若い人たちの命をどうして大事にしないのか。私には理解できません」と。
 渡辺美佐子さんは、初恋の人が、実は広島原爆の犠牲になっていたことを戦後35年のテレビの対面番組で知り、原爆で亡くなった子どもたちの手記を読む朗読劇を以来ずーと続けておられるのです。
 作家の赤川次郎さんは、原発の再稼働の動きに憤り、憂慮すべきことだらけの社会に「言葉で対峙していきたい」と述べられ、映画監督の周防正行さんは、「1人の市民として共謀罪には大反対です」と監視社会への危惧を述べられています。
 長野県上田市の「無言館」(戦没画学生の絵を展示)の設立に関わられた画家の野見山暁治さんは、戦後、戦没した画学生の家族を訪ねた時の思いを振り返りながら画学生と遺族の思いを語られています。
 数年前に訪れた「無言館」で、戦没画学生の作品や手紙を前に「二度と繰り返してはならない」と感じたことがよみがえりました。

 多くの人が平和を求めています。
 今を生きている者として、逆行する動きを許してはならないとの思いを強くしました。

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