2023-08-21
大隈信夫
世界で唯一の被爆国
日本にとって8月は、特別の意味を持つものであるが、今年は、先のG7広島サミットの「核抑止力」論
への批判が相次いでいる。
8月6日の広島の平和記念式典における松井一實広島市長の「平和宣言」では、「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」文書(R5.5)について、「世界中の指導者は、核抑止論は破綻しているということを直視し、私たちを厳しい現実から理想へと導くための具体的な取り組みを早急に始める必要がある」と、核抑止論
に固執するG7各国の首脳を批判している。
8月9日の長崎の平和記念式典における鈴木史朗長崎市長の「長崎平和宣言」では、「(G7首脳)広島ビジョンは、核兵器を持つことで自国の安全を守るという『核抑止』を前提としてい」る。「核抑止に依存していては、核兵器のない世界を実現することはでき」ないと、厳しく指摘し、さらに、両親が被爆者である被爆2世であることに触れるとともに「『長崎を最後の被爆地に』にするため、被爆者の思いをしっかりと受け継ぎ、平和のバトンを未来につないで」いくと決意を述べている。
また、原水爆禁止2023年世界大会で採択された「広島からすべての国の政府への手紙」では、「主要7か国首脳会議(G7)は、核兵器は『侵略を抑止し、戦争と威圧を防止する』と、『核抑止力』論を公然と宣言」した。「『核抑止』とは、ヒロシマ・ナガサキの惨劇をもたらすことを前提にした威嚇に他な」らず、「被爆地と被爆者を愚弄するこの宣言を断固として拒否」すると、強い言葉で抗議している。
「核抑止力」論は、ノーモアヒロシマ
ノーモアナガサキ
ノーモアヒバクシャ
――核兵器廃絶にとって、百害あって一理(利)もない。