スタコラ:2013-11-04

ブラック企業

2013-11-04
神戸

最近、ブラック企業という言葉を耳にする。 社員に長時間労働やサービス残業など過酷な労働を強い、要らなくなったら辞めさせるか辞めるように仕向けるような企業らしい。 そこで働く社員には、心身ともに疲弊し中にはノイローゼ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症するものもいるということである。 もしそうなら、これは実に忌まわしくゆゆしき問題である。

このような企業が日本に増えてきた背景には、1990年代のバブル崩壊後の不況によって人材の需給バランスが崩れ供給過剰になったたこと、国内産業が一次、二次から三次産業へとシフトしたこと、グローバル化や新自由主義の台頭、など様々な要因があるに違いない。 そのなかで成果重視、人物軽視の風潮が醸成されたものであろう。 和をもって尊としなした日本古来の企業はその姿を潜めようとしている。

しかし、そのような企業ばかりではない。 社員を大事にし、その家族まで気に掛ける経営者は多くいる。 この十数年私が接してきた地場企業でも社員思いの経営者は多くいた。 中には経営理念の一つに社員の生活向上を掲げて実践している経営者もいる。 同業他社と自社の給与比較において、少しでも高い給与を自分の社員に支払うことを誇りにしている経営者もいる。 そのような企業においては、おしなべて社員は明るく会社全体の一体感が感じられる。 仕事の効率も出来栄えも優れていることは間違いない。

「人は城、人は石垣、人は堀」は戦国武将武田信玄の言葉とされている。 信玄は、頑強な城を築くことよりも、人を大切にし、人材を集め、育て、鍛えて戦国時代屈指の強力軍団を作り上げた。 このことは現代にも通じる。 「企業は人なり」人を大切にしてこそ企業の発展はある。 人の尊厳を無視し、人を酷使し、PTSDにおとしめるような企業に存在価値はない。

尊敬する上司のもとで働けることが、働くものにとって一番の幸せである。 このことはいつの時代も変わらない。 間違ってもブラック企業などに就職することは、一生の不覚になる。 これから職を得ようとする人はくれぐれも慎重であらねばならないし、雇用する側も、職場で末永く良好な人間関係を維持するために慎重に人を選ばなければならない。

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