2013-05-13
大隈昭子
私の故郷は、長崎県の壱岐の島である。
高校を卒業して長崎の短大に入学した頃の私は、「玄海に浮かぶ夢の島、壱岐から来ました」と自己紹介していた。
そのころの壱岐の島は、白い砂浜と透明度抜群の海、新鮮な海の幸と、観光地として大変な人気で、特に夏は観光客でいっぱいだった。
5月の連休に帰島し、久々に壱岐の島内を巡り、いたるところで自然を満喫できて、感激した。
石田町の筒城浜や錦浜そして勝本町の辰ノ島などの海水浴場は、日本の 快水浴場 100 選
や 日本の海 100 選
にも選ばれている。
これらのきれいな海は、観光客だけでなく、壱岐の島で暮らす人たちや今は故郷を離れている人にとっても、やさしく癒してくれる空間ともなっていることを感じて嬉しかった。
壱岐の島は、10年前に4つの町が合併して長崎県壱岐市になり、3年前には、壱岐市立一支国(いきこく)博物館が開館した。
この博物館では、「時空(とき)を翔(かけ)るシルクロード・壱岐」と銘打って魏志倭人伝の世界を紹介している。
また、博物館から見下ろせる壱岐の島で最も広い田畑が広がる「深江田原」には、「国の特別史跡」に指定された 原の辻遺跡
がある。
この 原の辻遺跡
は、今から約 2000 年前の弥生時代に栄えた多重の環濠を持つ集落だ。
魏志倭人伝に記された国の中で、国の場所と王都の位置の両方が特定されるのは国内では、唯一「壱岐・原の辻遺跡」だけだそうだ。
この 原の辻遺跡
は、私が小さい頃、京都大学の調査隊の先生や学生さんが近所の安国寺に宿泊して発掘調査をしていた想い出がある。
一支国博物館では、壱岐学講座や特別講座が開催されている。
今年の7月13日から8月5日まで、「私の8月15日展」が、展示室で開催される。
これには、森田拳次、ちばてつや、手塚治虫など戦争経験のある漫画家・作家たち総勢127名による終戦の記憶と心象風景、漫画や文章で綴った作品が展示されるそうだ。
壱岐の島は、自然美あふれる景観と風土、その恩恵を受けた旬の魚や壱岐牛、壱岐焼酎などの特産物、さらに、浪漫あふれる歴史にもふれることができる。
まだまだ魅力はいっぱいの壱岐の島は、福岡市から、高速船で1時間10分、カーフェリーで2時間20分で行ける。
まだ行かれたことがない人はもちろん、行ったことのある人も、もう一度行かれると新たな魅力を感じられるでしょう。