映画観てある記:第11回

娘たちは風に向かって

監督:若杉 光夫
出演:小林千鶴子
津田 京子
日色ともゑ
1972年 ほるぷ

60年安保闘争以後、日本の高度成長の裏で「合理化」の波が全産業に押し寄せ、労働者がその波をもろに受けていた時代。
労働者や労働組合に視点をあてた映画は、1967年の武田敦監督作品「ドレイ工場」があるが、この作品「娘たちは風に向かって」は、大阪西淀の被服工場を舞台に、工場閉鎖に反対し、労働争議の中心となった8人の女性の戦いを描いた作品です。

戦前に書かれた小林多喜二の「蟹工船」が現代社会で話題になる中、この作品で描かれる 企業の悪辣な攻撃の中で、働くものの絆、労働者の連帯や家族の絆が見事に描かれ、何か共通するものが感じられる。
出演者も宇野重吉や米倉斉加年をはじめ、なつかしい演技派の俳優が多数出演しているのも見どころである。

娘たちは風に向かって

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