スタコラ:2026-05-25

人は、なぜ迷うのか?

2026-05-25
新開

家のリフォームで壁紙を決める時、分厚いカタログに並ぶ膨大な数のサンプルを前に、頭を抱えてしまった経験はありませんか?
『たかが白、されど白』で、微妙な質感や色の違いを比べれば比べるほど、どれが正解か分からなくなり、結局何日も迷い続けてしまう……。

人は、なぜ迷うのでしょうか?

「迷う」というのは、「複数の魅力的な選択肢」の間、あるいは「期待と不安」の間で心が揺れ動いている状態です。
どちらもメリットとデメリットが同じくらいある場合、脳は「損をしたくない」という本能から決断を保留します。

脳にとって「損失」は「利得」より痛みが大きいそうです。
それは、行動経済学で言われる「損失回避性」という特性が大きく影響しています。
人は、「1万円を得る喜び」よりも「1万円を失う苦痛」を2倍近く強く感じるということです。
後悔とは、「得られたはずの価値を失った(損をした)」という感覚であるため、脳が本能的に拒絶反応を示すのです。

26種類のジャムの試食販売と6種類のジャムの試食販売では、6種類の試食販売の方が3倍多く売れたそうです。
どうして26種類も準備したのに売れなかったのでしょうか?

人は、「選択肢が多ければ多いほど、自由が増し、より良いものを選べるはずだ」と考えがちです。
しかし、心理学者のバリー・シュワルツが提唱した選択のパラドックスによれば、
「選択肢の増加」は、「幸福」ではなく「苦痛」をもたらす要因になるということです。
何か一つを選ぶことは、他のすべての魅力的な選択肢を「捨てる」ことを意味します。
選択肢が多ければ多いほど、捨てたものの中にある「良さそうだった点」が気になるわけです。脳が損をしたくないと思うからでしょう。

選択肢が多くなると、自分の好みや価値観がどんなものだったか忘れてしまうのかもしれません。
「リンゴジャム」が好きで選ぶのか、「チャレンジが好き」ということで初めてのジャムを選ぶのか、好みや価値観をもとに選ぶ理由がはっきりしていたら後悔は減るのかもしれません。

現代は、望めばいくらでも選択肢が手に入る時代です。
だからこそ、私たちは「正解」を求めて迷い、疲れてしまうのかもしれません。

迷ったときは、一度外側の選択肢を比べるのを止めて、「私は何を大切にしたいのか?」という自分の内側に目を向けてみてください。
自分なりの価値観という「ものさし」があれば、膨大な選択肢はあなたを惑わすものではなく、人生を彩るための豊かなリストに変わるはずです。

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