スタコラ:2026-04-13

博多どんたく

2026-04-13
森本

「どんたくは誰が出るとかいな?」
父が尋ねてきました。
「今年は誰も出らんばってん、パレードだけは観いこうかね」
答えた私に、何の反応をするでもなくスポーツ新聞に目を落とす父は、日々痴呆症が悪化している 86 歳です。
昔は、父の母(祖母)や妹(叔母)が年に一度の白粉化粧をして三味線を弾きながらどんたくパレードに参加していたものでした。
親類の誰もパレードに参加しなくなって十年以上過ぎますが、父にとっては未だに一つのイベントなのでしょう。
「博多どんたく」は誰もが簡単に参加できる、本当の意味で「市民の祭り」でした。いや、今でもそうなのかもしれません。

人気のお菓子「博多通りもん」の「通りもん」とは、博多弁で「通る人々」という意味です。
どんたくパレードは町なかを「通る」ので「通る者(達)」からこんな言い方になったのでしょう。
この「~もん」は何にでも付けられる面白い言葉で、祖父母が「ドア」のことを「引っ張りもん」と言っていたのは、昔の家屋には横開きの障子や襖が主だったところに、洋風の今の住宅には「ドア」があって、「ドアノブ」が「引っ張る物」だからです。
カーデガンのことを「引っ掛けもん」と言うのは、きちんと着付けせずに簡単に「引っ掛け」るだけで着用できるからですね。似た言い方に「羽織りもん」というのもありでした。
他には、自転車のことを「漕ぎもん」、サーカスの空中ブランコのことを「高もん」なんかを思い出します。
かなりアバウトな言い方ですが、ある意味、博多人の「いい加減」で「適当」で「おおらか」な気質を表しているような感じがします。

市内に西鉄電車が走っていた頃、どんたく期間中だけ走る「花電車」は花で飾り付けたというよりも、数多くの電球で装飾したものでした。
「花電車」が通る時刻表があって、時間になると近所の線路沿いまで家族みんなで出かけました。
白熱電球が何百個も付いているので、近くに寄ると「眩しい」だけでなくヤケドしそうなほど「熱い」。運転手は大変だったに違いありません。
現在の「花自動車」の電飾はたぶん当時の数十分の一の筈です。まぁ、無駄にエネルギー消費するのもね…、…。少し、寂しい。

「どんたく」という言葉はオランダ語で休日を意味する「ゾンターク」に由来するというのはよく知られていますが(半ドンは半分休みという意味等)、多くの人は、「祭り」と「パレード」の二つをごっちゃにして使っています。
いや、これはこれでごっちゃにして使って良い、ということを言いたいわけで、「どんたく」祭りそのものに大げさな目的なんかは無い、からです。
私が調べた限り、長く続いた伝統ある行事ではありますが、山笠の「悪霊退散(病魔克服)」や、放生会の「生類慈しみ」なんかと違って、どんたくのルーツである「博多松囃子」の起こりが「今年も無事でおめでたい、なにはともあれ、お祝いしましょ」みたいな感じの、軽くて、ゆるい祭事だからです。
でも、だからこそ、ムツカシク考えずに、歌って踊って浮かれるのがマル。あくまで私見ですが。

掛け声「いおおたあ(祝ぅたぁ)」は、「お祝いしましょう」を「エイエイオー」みたいなノリで発するもの。
博多三大祭りの一つでGW中は日本で一番の集客のある「博多どんたく」は5月3日の朝9時、櫛田神社への奉納(稚児踊り等)から始まります。
パレードだけでなく、市内のいろんな所に特設ステージが立ち、中には飛び込み参加できる舞台もあります。
楽しみましょう!
…、だけど、父は「有田陶器市」の方に行きたがるかもなぁ(笑)。

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