2026-02-02
西平秀明
わが国は雨が多く、国土の約75%を山地が占めているため、降った雨はすぐ川に流れ、海へと注いでしまいます。
このため、大雨が降れば洪水、雨が降らなければ渇水という極端な状況になりがちです。
福岡県の年平均降水量は、約1,800mmで、全国平均とほぼ同程度です。
月別の降水量をみると、梅雨前線、台風の影響を強く受けるため、夏季に雨が多く、冬季に雨が少なく、年間降水量の約半分は6月から9月に集中しています。
福岡県では、大きな河川が少ないこともあり過去に大きな渇水がありました。
昭和53年渇水(福岡大渇水)、平成6年渇水(列島渇水)が代表的なものです。
福岡市では昭和53年渇水では287日間、平成6年渇水では295日間の給水制限を経験しています。
このような背景もあって、福岡県においては、広域的なネットワークで水供給を行う広域利水によって水道用水の安定供給を図っており、特に筑後川水系に大きく依存しています。なかでも福岡都市圏は、水道用水の3分の1が筑後川水系の水です。
その筑後川水系では、昨年9月以降少雨傾向が継続しており、月間降水量は9月から12月の4か月連続で平年値を大きく下回り、河川流量維持のためダムからの補給が続き、ダムの貯水量も減少の一途をたどっています。
このため、昨年12月から、関係者が協議し、貯水量を長持ちさせる渇水調整を行っています。
現時点では取水量を減らす制限が始まり、筑後川水系6ダムの利水容量の統合運用、筑後川水系以外の自己がもつ域内水源のさらなる活用、あわせて節水の強化という調整を行っており、現状の降水量の推移、ダムの貯水量の減少度合いからみると、当たり前ではない生活が迫ってきているという認識を関係者間で共有しています。
ダムをはじめ、海水淡水化施設の建設、漏水対策や配水調整システムの整備などが進み、また、渇水調整などにより、幸いなことに平成6年以降の30年以上、断水など市民生活・社会経済活動への影響は出ていません。
私はこれまで長い間、水資源開発に携わってきましたが、近年は「もう福岡の水問題は解決した」と言う話を聞くことが増えてきていました。
一般市民の多くは、渇水という言葉を、実感として意識することがほぼないかもしれません。
夏季は1回の雨でダムの貯水量が劇的に回復することもありますが、冬季は無降水日が続いたり、雨が降っても少量の場合が多く、冬渇水は長期化する傾向があります。
一人一人が5秒間だけ水道水の利用を控えると1リットルの水が節約でき、それに水道利用者の数と日数を掛け合わせると少なくはない量の節水が可能となります。
断水などの事態にならないことを願い今後の降雨にも期待はしますが、一方では当たり前ではない非日常の生活を想像して、リスクは何か、一人一人がとれる行動は何か、水の使い方は適切かなど、冬渇水を日常の当たり前を見つめ直す機会と捉えてみてはいかがでしょう。
