スタコラ:2025-10-20

大声で唱和した日々から、「いいね!」の時代へ

2025-10-20
柿本

最初に勤めた会社(CSK)では、社是、経営理念、サービス精神がそれぞれ額に入れられ、事務所の壁に掲げられていました。
毎朝、朝礼で皆でそれを唱和するのが日課でした。
創業が昭和だから唱和...なんちゃって(←これも昭和ですね)。

軍服のようなごつい制服を着て、毎朝、大声を出す。
当時の私は、あの一体感をけっこう気に入っていました。

<経営理念への考察>

特に印象的だったのが、以下の三つの経営理念です。
一,変化に挑む経営
一,社会的使命を担う経営
一,個人と会社の目標を一致させる経営

最初の二つは今も通用する普遍的なテーマですが、最後の「個人と会社の目標を一致させる経営」には、むむむ、と立ち止まって考えてしまう方もいるのではないでしょうか。
最近、「ワーク・ライフ・バランス」ということばが再び脚光を浴びました。
字義に従えば「仕事と個人生活のバランスをうまく配分しよう」となり、詳しい人の解説によると「仕事と生活のバランスは働く人の自由を尊重しよう」という考え方だそうです。
「仕事が好きならどんどんやりなさい」という、個人の裁量に任せる意味合いが強いわけですね。

ここで、先の「個人と会社の目標を一致させようとする経営理念」は、一見すると会社色に染まれ!
つまり、「ワーカホリック」を強制するものではないか?そんな疑問がわいてきませんか。

<創業者の言葉の真意>

創業者の大川功氏(故人)は、大阪出身の話好きなおっちゃんで、よくたとえ話をしてくれました。

「ええですか、例えば社員が家を買いたくなったとします。
 そのとき、ちゃんと仕事をしてお客様に満足してもらえれば、会社がたっぷり給料を出してその夢が実現するっちゅうわけですわ」

ふむ…。
これはつまり、「いい仕事をして会社の業績があがれば社員の給料も増え、ともに幸せになるという目標は一致する」という、会社と個人の利益が一致する理想的な状態を目指していたということです!

「…かなり善意に解釈したよね?」という声があるのは承知しています。
ま、でも、当時、私自身は社長が好きだったんですよね。

<現代の「評価経済社会」と「好き」の力>

元祖オタキングの岡田斗司夫氏によると、現代は「評価経済社会」だそうです。
インターネットの普及により、貨幣ではなく他者からの「評価」が重視される社会。
確かに、私たちはホームページをつくったり、グルメ口コミサイトで5点に近い点数になるよう頑張ったり、SNS で情報発信したりと、ネット上での「いい評価」を得るために努力しています。

なんども同じ人(会社)の情報を見ていると、親しみが湧いてくるものです。
「好きになる」と言ってもいいかもしれません。
この親近感や信頼感といった「評価」が、現代社会では新たな価値を生み出す原動力になっているのでしょう。

会社が好きになれば、個人(社員)との目標は自然と一致させることができます。
そして、会社の「顔(カオ)」とは……?
ええと、美人受付嬢や広報担当ではありません。社長ですよ、社長!そう、あなたのことです。

…と、いうわけで、現代風に頑張るなら、社長!「社員に信頼され、好かれるように」なりましょう!
それが、目標一致の第一歩なのかもしれません。

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