2025-06-16
柿本
「先輩、一生のお願いがあります」
と言われたので、真剣に話を聞くと、「明日のWEBミーティング、私の代わりに出てくれませんか?」ということだったので、快諾した。
家に帰ってその話を家人にすると、しばらく大人しく私の話を聞いていたが、なにかを得たようで「うっ」と、短いうめき声を上げ、その人のなかの人(ナゾ)が、「わしの一生のお願いじゃ」と、言い始めた。
「腰が…痛い。もんでくれんかの?」
まったく、みんな、一生のお願いを軽々しく使うなー(笑)と思ったが、なにせ一生のお願いだ。聞かぬわけにもいかぬ。どれ…。
もみもみ
「ちがーう」
どうやら、揉む位置が違っていたようだ。狙いを定めさらに強くもむ。
もみもみ
「そこじゃーーーっ!」
聞けば、「お虫様」と呼ばれるナゾの生命体(神さま?)が腰のとこにいらっしゃるらしく、そんなありがたい方の一生の願いだ。これも聞かないわけがない。
今日は、いいことしたなー。
清々しい気持ちでその日を終えた。
数日して、家人がまた言った。
「一生の願いじゃ。こ、腰をもんでくれんかの?」
ん?この前、願いは叶えたはずだが…と思ってると、
「お虫様の一生は短い。この前のは452番目のお方じゃ。わしは違う」
だそうだ。
こりゃ、1本取られたな。